水着になり、雑誌やDVDでかわいらしさやセクシーさを振りまくグラビアアイドル。そんな彼女たちに2016年、さまざまな変化があったという。
Twitterで20万フォロワーを持ち、「グラドル自画撮り部」の活動などグラドル全体の底上げにも力を入れるグラドル・倉持由香に、2016年のグラドル業界を振り返ってもらった。
——グラビアアイドルの仕事と聞いて、まず思い浮かぶのが雑誌の表紙です。2016年はどうだったでしょう。
倉持由香(以下・倉持):昨年まで多かったAKB48などアイドルグループのメンバーの比率が徐々に下がってきました。菜乃花ちゃん、天木じゅんちゃんとグラドルが表紙に起用されて嬉しい一方、モデル出身の方のグラビアが増えました。
武田玲奈さん、久松郁実さん、石川恋さん、馬場ふみかさん…。モデル出身の方には正直これは勝てないって思います。
48系アイドルのときには「でも私たちの方が体張れるし、脱げる」って思っていたんですけど、モデル系の方って脱ぐことにそこまで抵抗がない。
馬場さんの写真集は手ブラだし、内田理央さんの写真集はお尻を見せている。しかも、モデルさんは脱いでもかっこいいとなるんです。
私は自分の見た目に自信があるわけではないので、モデル出身の方には勝てないと思ってます。
ただ、橘花凜ちゃん、天木じゅんちゃんとグラドルも写真集が出せているのは、いい傾向です。
グラビアにもう一度目をむけるというか、紙媒体に注目が戻っている。
48系や乃木坂46ファンの若い世代が、アイドルの写真集を買ったり、雑誌を買ったりすることに、抵抗がなくなったのかもしれません。
グラドル界に訪れた"ITバブル"
——今年はAbemaTVができたことでグラドルの仕事もグッと増えた印象です。
倉持:グラドルの映像の仕事が全体的に増えましたね。Abemaの「妄想マンデー」「おねだりプリンセス」「ピーチゃんねる」や麻雀番組のアシスタントだったり。
グラドルを使うと数字が伸びるからだと思います。Abemaさんはすごくコメントの伸びなど数字を気にしているし、グラドルを使うと「おっぱい」とか男性のコメントがつきやすい。
グラドルにとってもAbemaっていいんです。
まず体制がきちんとしている。ほかのネット生放送と違って、カンペ、台本、ディレクターさん、プロデューサーさんがフロアにいて、作りはテレビ番組なんです。
テレビ番組の仕組みに慣れていないと、いざグラドルが地上波に呼ばれた時に爪痕をなかなか残せない。
Abemaでたくさん経験を積んで、地上波の深夜番組で結果を残して、いずれゴールデンタイムの番組に...というルートが作れたらいいと思ってます。
——Abema以外でも、アプリゲームのイベント、CMへのグラドルの起用は増えています。
倉持:「三国天武」CMでも神谷えりなちゃん、菜乃花ちゃん。「モンスターストライク」のCMでは、都丸紗也華ちゃんが起用されています。
CMでぱっとお色気があった方が、若いユーザーの目に留まるのだと思います。
グラドル全体としても年収は増えたと感じています。地上波で見ることも増えましたね。
新人グラドルが撮影会や、集金型のミスコン(ファンが使った額によりグランプリを決めるミスコンのこと)しか仕事がない状況は、タレントもファンも疲弊する。
そうじゃなく、ファンがお金を払わなくてもタレントがメディアに出られるような状況を作らないといけない。
ーーグラドルといっても色々な立場の人がいます。簡単に「グラドル」と名乗っていいという状況もあります。
倉持:タレントと一般人との壁がなくなってきていますし、自称グラドルが増えています。
私はDVDを出して、パブ(イメージDVDメーカーが用意したグラビア写真)が雑誌に載ったらグラドルと言っていいのかなと考えてます。
ただ水着のDVDを出しただけだと、冬コミで自作DVDを手売りしている人と変わらなくなる。
私も自称グラドルの時期が長かったんです。DVDを出せたのは今の事務所に入ってから。前の事務所のころは自主制作で出していました。
DVDをケースに入れて、生写真を入れて、梱包して、高校行く前に郵送して...。そんな時「私グラドルなのかな」って考えていました。実際グラドルではなかったと思います。
イメージDVDの規制は「歯止めになれば」
ーーグラドルの仕事の一つであるイメージDVDの世界には大きな動きがありました。今年3月にはAmazon.comでの取り締まりが厳しくなり、大手事務所のタレント以外のDVDはアイドルではなく、AVと同じアダルト扱いにされました。現在はソフト倫理委員会の審査を通すことで、アイドルカテゴリーの掲載は可能となり、過激さも抑えめになっています。
倉持:今回のことでDVDメーカーさんが考える機会になってくれたらと思ってます。Amazonの規制が入る前までは、グラビアアイドルが着エロの過激なラインをやるようになっていた。手ブラだったりと、写真集でやるような過激な露出をDVDで求められると厳しいです。
——グラビアアイドル同士で露出については話したりするんですか?
倉持:みんな話してますよ。「露出が多すぎて嫌、ロケに行くのが辛い」とか。グループLINEで励まし合っています。そういった話を聞いていると「これは私がやりたかったグラビアなのかな」って思うこともありました。
私自身、次のDVDは決めていないんです。私がDVDをやり続けていると、きっと新人の子が「倉持さんもここまでやっているから...」と過激な露出を求められてしまう。
私はグラビアが好きだから、悲しい気持ちで辞める子がいるのは嫌なんです。
「みなさんありがとう、私、普通の女の子に戻ります」と辞めていってほしい。
グラビア大嫌いで辞められると悲しい。
ーーいろいろ誤解されることの多いグラドルではありますが、実際には楽ではない。
倉持:グラドルの子でも芸能の仕事一本で食べている子は少なくて、例えばうちの事務所の後輩なんかも普通にバイトしてます。グラドルって楽な商売だなと思われるのが一番嫌なんです。
最近悲しかったのはネットの自称事情通が「あいつがAV斡旋したり、愛人紹介したりしているの知らないの」と掲示板に書き込んでいたこと。
一番そういうのが嫌いでやってきたんですけど。伝わらないのかなって。
服もしまむらとメルカリなんですよね。おかげさまで頑張ればブランドものを買えるんですけど、買いたくないんですよ。
グラドルがブランド物を買ったら「あっ、こいつ、愛人がいるな」となる。
私はそれが死ぬほど嫌なんですよ。怖すぎて。脅迫観念ですね。家賃も自分で払ってるんですけど「こいつ、最近テレビに出てる。枕営業か」となる...。
だから、そういう話に信憑性を持たせるような発言は嫌なんですよ。
ーーただグラドルってテレビに出演すると愛人だとか、枕営業の話を求められる。
倉持:グラドルの暴露本を吉沢さりぃちゃんが出したじゃないですか。ギャラ飲み(金銭をもらい、飲み会に参加すること)や枕営業があると書いたり。私はよくないなと思います。
テレビ番組に出るときも、スタッフさんから「そういう暴露話できますか」と言われるから「誰々に口説かれました」「風俗店で働いているグラドルいます」「パパがいるグラドルいます」とか言ってしまう。
でもタレントって才能って意味じゃないですか。そういう暴露話をしなければ、テレビに出られないなら、それは、その人の才能じゃない。
必死なのはわかるけど、代わりは利く。あきられたら使い捨てされる。私はそうじゃないように自分を磨きたい。
——倉持さんの武器といえばTwitterがある。
倉持:SNSは自画撮りを載せるようにしてます。バタバタして、死にそうな目の時もTwitterはちゃんとやろうと思ってます。
ブログも毎日書いています。グラドル部門ではブログは常に1位です。
SNSはもちろん、MCやMCのアシスタントの腕を磨きたいです。共演する芸人さんのネタや過去番組をみたり、事前準備はしているのはもちろん、終わったらスタッフさんや芸人さんに反省点を聞く。
一つの番組から次につなげようとしてます。
——最後は2017年に向けて。気になるグラドルさんはいますか?
倉持:忍野さらちゃんはジャケットを見てもかわいいですね。正統派巨乳。あと早瀬あやちゃん。2人ともレースクイーンですが、やっぱりスタイルがいいですね。
忍野さら
おやぷみーーー🍀
早瀬あや
日本レースクイーン大賞早瀬あやにポチポチ投票よろしくお願いします❄🎅💕 RQ大賞 https://t.co/xl2qmxPWeM ギャルパラ https://t.co/4aay9sylWQ モバオク… https://t.co/FYaY5XLJCD
あと「自画撮り部」で、天木じゅんちゃんはTwitterの使い方がうまい。PPAPのパロディとか、使い方がず抜けていますよね。
どうやって自分が売れるか考えています。考えていることが大事だと思うんです。その方向性が間違っていても、考えた経験は無駄にならない。
SNSも積極的にやっているし、じゅんちゃんには頑張ってほしいですね。
天木じゅん
POOP #1mmでもいいなと思ったらRT #PPAP #ピコ太郎
——倉持さん自体の2017年の目標はどうですか。
倉持:MCがしたいですね。それを芸能界で生き残る術にしたい。
さっきも言ったんですが、私は自分の見た目に自信がないし、モデル出身のグラドルには同じ土俵で勝負しても雑誌の表紙争いで勝てないと思ってます。
だからこそバラエティー番組に出演して知名度を上げて、逆輸入で表紙を取りたいと思っています。
仕事に関しても、受け身でこなすだけだと使い捨てになると思ってます。
今は企画から参加していて、VRのコンテンツのグラビア部門の企画を一緒に考えたり、雑誌のグラビア企画には会議から入っています。
いずれ裏方に回りたいという思いがあるので、今からそういう現場に参加できるのはすごく嬉しいですね。
新しいチャレンジだと、来年からBLOGOSで「#グラドル自画撮り部」の部員紹介記事連載企画もスタートします。
グラビア界全体にとっても、2017年は明るい年になると思っています。