広島優勝を陰から支えた元助っ人外国人 カープへの恩返し果たす

    有力選手獲得の敏腕スカウト

    25年ぶりにセ・リーグ制覇を果たした広島カープ。優勝を裏から支えた一人が現在駐米スカウトを務めるエリック・シュールストロムさんだ。

    今シーズンも15勝を挙げた先発の柱ジョンソン、勝利の方程式の一人であるセットアッパーのジャクソン、中継ぎから先発ローテの一人となったヘーゲンズと、優勝の原動力となった選手たちは彼のスカウトによるものだ。

    「カープのセ・リーグ優勝を誇りに思います。興奮するとともに、ほっとした気持ちもあります。チームには若い才能のある選手が豊富におり、リーダーシップを持つベテラン選手と素晴らしいコーチが完璧な人数で揃っていました。優勝に値するチームです」

    カープ優勝について、BuzzFeed Newsに喜びのコメントを寄せた。

    優勝が決まった試合は、カルフォルニアの自宅で早朝から起きて見守ったという。

    「インターネット経由で最後のアウトの瞬間を見ました。緒方監督のスピーチとチームの胴上げも見ました。喜びのあまりに涙し、何度も映像を見ましたよ」

    妻は広島出身の日本人。野球には詳しくないが「カープの選手、コーチ、球団スタッフの皆さんが頑張っているのを知っています。カープの優勝は広島出身であることを誇らしい気持ちにさせてくれたそうです」と喜んでいるという。

    12球団屈指の駐米スカウト

    2003年から広島の駐米スカウトを務めているシュールストロムさん。

    これまでにルイス(現テキサス・レンジャーズ)、サファテ(現ソフトバンク)、バリントンら数々の有力助っ人をチームに送り出し、ファンからは「安心のシュール便」と呼ばれるほど信頼を得ている。

    今シーズンも優勝に貢献したジョンソン、ジャクソン、ヘーゲンスはいずれもシュールストロムさんがスカウトした。

    「3人ともうまく自分の力を発揮してくれました。ジョンソンは日本でスタープレイヤーとして開花しました。ジャクソンは強い闘争心を持っており、カープで自分の居場所を見つけたように見えます。ヘーゲンズ選手は若者ならではの元気と、どの役割でもこなせる能力によりチームにとって貴重な存在になっています」

    シュールストロムさんの広島への思いは強い。

    もともと投手だったシュールストロムさんは1994年にミネソタ・ツインズからメジャーデビューした。

    だがアメリカでは花は咲かず、メキシコリーグを経て1998年に日本ハムファイターズに入団する。

    日ハムでは抑えを任されたが、入団2年目に右肩の故障し戦力外に。1年のリハビリを経て、2001年に広島カープの入団テストに合格。赤ヘルの一員となった。

    カープでは再び抑え投手を任されるも、シーズン後半に故障。翌2002年も故障に悩まされ、シーズン後に現役から引退する。

    その年のオフ、球団から駐米スカウトにと誘われた。野球の仕事を続けられること、チームに貢献できると考え、現在の仕事に就いた。

    選手として、スカウトとして、カープに2度救われたと考えている。

    優勝で恩返しができたかとの質問すると「カープには大きな恩があるので一生返しきれません。カープや広島にはたくさんの借りがあります」とコメントした。

    その手腕を見込まれ、数年前に日本の別球団から引き抜きの声もあったが、カープでの仕事を選んだ。アメリカの地にいても、気持ちはカープとともにある。

    最後にカープファンにこうメッセージを送った。

    「今までチームを信じ、熱烈な応援をしてくれているすべてのカープファンにお礼を言いたいです。ファンの方々はとても大切で、皆さんの応援やねぎらいの言葉が選手の気持ちを高めてくれます。カープはファンの皆さんがあってのチームです。カープを支えてくれる声援とサポートに感謝をします」