中国でのワンピース映画実写化、集英社が完全否定 その中国企業に連絡したらデタラメだった

    リリースは世界中に拡散

    企業ニュースリリース配信会社「ビジネスワイヤ」は16日、人気漫画「ワンピース」が中国で実写映画化されるとのリリースを配信した。しかし、BuzzFeedの取材で映画化の事実はないことがわかった。


    配信されたリリースでは、上海を拠点とする中国企業のShanghai Minghuan Investmentが「ワンピース」の著作権を作者である尾田栄一郎氏から16億円(1510万米ドル)で購入し、実写映画化を計画中とある。


    配役については、俳優の窪田正孝が主人公モンキー・D・ルフィを演じ、ヒロインのシャーロット・プリン役を中国のアイドルグループ「GNZ48」の謝蕾蕾が演じるとされている。


    会社ホームページによれば「ビジネスワイヤ」は60社を超える国際通信社との提携しリリースを配信しており、ワンピース実写化のニュースは時事通信のニュースサイト「時事ドットコム」やアメリカの「Yahoo!ファイナンス」にも掲載されている。


    リリースを見て、ワンピースファンなら疑問に思う部分があるはずだ。


    ヒロインとされるシャーロット・プリンは原作漫画につい最近登場したばかりのキャラクター。実写映画のヒロインならナミやニコ・ロビン、せめてハンコックなどの定番キャラを選ぶはずだ。またリリースに使われた謝蕾蕾の合成写真もあまりに素人っぽい。

    いや、リリースにこれはないでしょ


    BuzzFeedがワンピースを発行する集英社に問い合わせたところ、広報担当者は実写映画化について「そのような事実はありません」と完全否定。作者の尾田氏からも映画化の連絡などは全くないとした。


    BuzzFeedではリリースに書かれた上海の企業「Shanghai Minghuan Investment」の電話番号に問い合わせた。だが、出たのは会社とは全く関係のない女性。しかも上海ではなく、北京在住だった。


    書かれていたメールアドレスも中国のフリーアドレスで、メールを送ったところ宛先不明でメールが戻ってきた。


    なぜ、でたらめなワンピース実写映画化のリリースが配信されたのか。

    ビジネスワイヤの日本法人「ビジネスワイヤ・ジャパン」はBuzzFeedの取材によって、この事実を知ったという。「中国法人がクライアントから送られたリリースを翻訳して配信した」と説明。クライアントの発表については、誤字脱字などのチェックはするが、リリースの事実確認までは行っていないという。


    リリースを放置すれば、ワンピースの映画化を信じるファンも出てくるが「中国側のクライアントの指示がないと日本法人としては記事を消すことができない」と削除は行わない。ただ「集英社側から何らかの連絡があれば、動きようはあります」と話した。