対応策は意外にも「人力」
Jリーグ開幕戦から配信トラブルが続いているネット動画配信サービス「DAZN」は3月2日、都内で報道陣に向けた説明会を開催。同社のジェームズ・ラシュトンCEOは「プラットフォームとして決して許されるものではない」と一連のトラブルを謝罪した。
続けて「トラブルの根本的な原因はすべてわかっており、問題は完全に解決された」と今後はこのようなトラブルはないと断言した。
Jリーグ開幕戦で相次いだトラブル
DAZNは10年2100億円の放送権契約を結び、今シーズンからJリーグ全試合の有料配信を開始した。
しかし2月26日、次の3つのトラブルが起きていた。
- 2月26日中継のJ1「ガンバ大阪vsヴァンフォーレ甲府戦」で試合が視聴できない。
- 2月26日中継のJ2「愛媛FCvsツエーゲン金沢戦」で試合が視聴できない。
- 2月26日開催のJ2全試合の見逃し配信が視聴できない。
説明会に出席したJリーグの村井満チェアマンは「試合中継のデータをDAZNに渡すまでがJリーグの役割。データの部分までは問題なくできた」と話しており、今回のトラブルの原因はDAZN側にある。
では原因はなんだったのか。
DAZNでは試合のライブ配信終了後に、自動的に試合開始と試合終了までをトリミングし「見逃し配信」に変換するツール(オートスタートストップツール)を使用しているが、2月26日開催の全7試合終了後に、このツールが一気に複数試合の同時処理を開始した。
想定外の負荷がかかったためデータベースが破損。結果、配信を担うプラットフォームに障害が起こったという。
対策として、配信を担うプラットフォームを再構築。バックアップ体制も強化する。
さらに「見逃し配信」への変換はツールを使わず、手動化。この人力での対応について、DAZNのウォーレン・レー開発部長はBuzzFeed Newsに対し「毎週末、人員を割いて行う」と説明。
自動化に再び戻す時期については未定という。
複数アクセスによるトラブルは否定、画質はそれぞれの環境の問題
配信不具合が起きたことで、ユーザーからはサーバーにアクセスが集中したことが問題では?と指摘されていた。
この点については「同時に複数の試合を中継したことが原因ではない。容量が十分にバックアップされていなかったわけではない」と明確に否定した。
DAZNを使用するユーザーからは、画質の悪さを問題視する声も上がっている。
この点については、DAZNとして品質向上に取り組んでいる一方「画質はご家庭でお使いのブロードバンド環境に制約される」とユーザー環境にも要因があるとした。
現在HD画質で視聴しているのは日本のユーザーの62%。今後数年をかけてNTTドコモとWifi環境を進めていく計画もあるというが、画質がすぐに向上する可能性は低そうだ。
ユーザーへの今後の対応
なお説明会では2月25〜26日にDAZNを利用したユーザーに対し、次のような対応を取ることが発表されている。
- 無料体験期間中のユーザーに対しては、無料視聴期間を2週間延長。月額料金を払うまで、さらに2週間無料でDAZNを利用できる。
- 既に月額料金を支払っているユーザーには、利用期間を無料で 2 週間延長。次回の支払い日は現在設定されている日から 2 週間後となる。
- 「DAZN for docomo」をご契約中のお客様への対応として、NTT ドコモよりdポイント500ポイントを進呈する。