総選挙でお金使いすぎた? AKB総選挙の夜、新潟”夜のお店”は閑古鳥

    今後の希望はNGTの成長

    新潟で初開催されたAKB総選挙には全国から約3万人以上が詰め掛けた。経済効果は15億円といわれ、地元の期待も高まっていたが、夜の新潟の街では景気のよい話はあまり聞こえなかった。


    総選挙が終わった22時ごろから、新潟駅周辺の飲食店はファンでにぎわいを見せていた。


    日付が回って0時すぎ。店を閉めたばかりだった店長は「22時くらいから店にお客さんが結構来たよ。新潟の地の魚をいっぱい食べてくれたよ。AKBファンって意外に年配の方も多いんだね。びっくりした」と笑顔で明かした。


    一方、夜の店の景気は不調だった。


    客引きの男性は「女の子がいる店の方は期待していたけど、全然だね。みんなコンビニで飯を買って、ビジネスホテルに直行だよ。声をかけても総選挙の結果は教えてくれるけど、店には来ない。飲食店も客は来たけど長居はせず、店終いにしたところが多いよ」と苦笑い。


    クラブの女性たちは「きょうはAKBのファンがいっぱい来るよ」と声を弾ませて出勤していたが、その恩恵には預かれなかったようだ。


    新潟駅から万代橋をわたって15分ほどにある繁華街・古町も普段と変わらなかった。


    周辺のビジネスホテルには総選挙を訪れたファンが宿泊していたはずだが、「あんまり、それらしい人は来なかったなあ」(飲食店亭主)と景気のよい話は聞けない。警ら中の警官は「人の数は、いつもの土日と変わりません」と話した。


    総合案内所の男性は「きょうは人が少ないですね。アイドルファンだから、あんまり夜の女の子とかには興味がないのかもしれないですね。きのうは学会があったとかで、よっぽどお客さん来てましたよ」とぼやいた。


    宿泊施設は軒並み満室だったため、オールナイト上映の映画館に集まる人もいた。「客席のだいたい半分くらいが埋まりました」(映画館スタッフ)とこちらはうまくいったようだ。


    深夜2時、駅周辺のベンチは慣れない野宿をする若者たちで”満室”となった。日中30度を超えた熱は夜も残り、肌寒さを感じなかったのは幸いだった。駅前で上がる大きな声に「ケンカか?」と目を向けると、大柄な外国人男性がSKE48松井珠理奈の良さを友人に対し熱弁を振るっていた。


    19日の地元「新潟日報」朝刊には「県外ファン 新潟イチオシ」と、総選挙を通して、県外から来た人が新潟を好きになってくれたとの記事が掲載された。


    ただファンと話すと違った印象も受ける。18日のイベント当日は朝からハードオフエコスタジアム新潟を訪れ、夜までスタジアムで過ごし、そのまま帰路につく。会場に設けられた物産展が、新潟との唯一のふれあいという人も少なくなかった。


    ホテルをチェックアウトし、これから東京に帰るというAKBファンに話を聞くと「今回も総選挙は盛り上がって楽しかったです。次は沖縄ですかね、北海道ですかね」と目を輝かせて話した。悪気はないが、その目はもう新潟には向いていない。


    一過性に終わりそうな総選挙景気だが希望もある。総選挙では新潟県出身で生え抜きの加藤美南が76位にランクイン。グループとしても大手レコード会社からメジャーデビューすることが決定と種はまかれた。


    地元の人は「NGT48ができてから、県外からもファンが訪れるようになってるんですよ」と話す。祭は一瞬の非日常。これからの日々でNGTという種をいかに大きな稲穂に育てるかが、県外からの継続的な観光客誘致につながっていく。