昔のツイートを発掘する謎のアカウント。“中の人”に話を聞いた

    その目的と、気づいたこととは。

    現在、Twitter上で密かに人気を集めているアカウントがある。

    それが古ツイート発掘者協会(@icho_ga_yowai)だ。

    同アカウントは、一般ユーザーの過去のツイートを掘り返し、その頃の気持ちを思い出せるというもの。例えばこのように引用ツイートで思い返さす。

    10年前のツイート どう進化しただろうか? https://t.co/K8trw25VOS

    このツイートから5年経ったけど、 5年前のこと思い出してみてどう思う? 「あの頃は飽きるほど遊んだなぁ」なのか、「なんであの時もっと遊んでなかったんや…」なのか https://t.co/0MWrg1PSYC

    いったい誰がなにを目的に運営しているのか。また、発掘していて気づいたこととは。BuzzFeed Newsは運営する“中の人”に話を聞いた。

    「目的は特にないです」

    運営者はシステムエンジニアをしている20代の男性。始めたきっかけをこう話す。

    「ツイート発掘を始めたのは今年の6月22日からです。目的があって始めたわけじゃなく、なにかTwitterを使ってユニークなことをしたいな、と思って始めました」

    スタートから約1カ月でフォロワーは6千人を超えている。

    発掘するツイートはランダムだが、そのほとんどは「5年後」や「10年後」などのワードを含むツイートを対象にしている。

    「例えば『5年後に今のことを思い出すかな?』というツイートを5年後に掘り起こせば、掘り起こされた人はなにかしら思うことがあるはずです。安易に心を動かすことができるワードなんです」

    あとはその日の気分のよって「死にたい」「Twitterやめる」などのキーワードでも発掘をしている。

    試しに「私(記者)のツイートを発掘してみてください」とリクエストしてみた。

    ▲発掘された記者のツイート

    7年前にやりあった先輩は今どうしてる? 今振り返っても、やっぱり当時と同じ気持ち? https://t.co/FBsufLu8VT

    ▲このように引用ツイートされる

    7年前のツイートが発掘された。自分でもこのようなことをツイートしていたのかと忘れていた。あとすごい恥ずかしい。ちなみにこれは新卒で入社した会社での出来事である。若かった。

    ほかにも…

    世界最古のツイートを発掘したり、

    世界最古のツイートはこれか https://t.co/8ik3urQvBX

    日本最初の「Twitterやめる宣言」を発掘したり、

    これは日本で最初に行われたTwitterやめる宣言である 宣言から10年が経過しているが、この人物は今もTwitterを利用している 禁煙宣言とどちらが信用できないのか、学者の間でも意見が別れている https://t.co/VgkrULVUu1

    今ではよく見かけるネットスラング「FF外から失礼するぞ」の最古のツイートを見つけたり、

    リクエストがあったので発掘してみたけど、 現存する最古の「FF外から失礼するゾ」はこれだな 例のコピペとどっちが先かはわからない https://t.co/gLdgsZtsbk

    東日本大震災における最初の地震報告ツイートを発掘したりしている。

    東日本大震災における最初の地震報告ツイート 発信者は存命 https://t.co/yaKVABT9Du

    このように単にユーザーの昔のツイートを掘り起こすだけでなく、Twitterという巨大SNSのアーカイブもしているのだ。

    発掘作業をして気づいたことは?

    発掘作業をしていて気づいたことはあるのだろうか。

    「まず、アニメアイコンの多さですね。どんなワードで検索かけても多いです。あとは、2011年3月11日以前と以降で世界が変わったなと思いました」

    「地震に対する感度がまったく変わったように感じます。これまではただの揺れだったものが、3月11日を連想させるものとして認識されるようになりました。放射線に対する関心もそうです。健康被害を懸念する人、批判する人、その両方が増えていました」

    例えば「5年後」という言葉で検索をかけても「地震」や「放射能」というワードもあがってくる。3.11以降、Twitterでも将来を懸念するツイートが増えたそうだ。

    「死ね」とワードの増加。

    ほかにも「死ね」という言葉が急激に増えたことも気づいたという。それは「おはよう」「ありがとう」などを遥かに超えているそう。

    「Twitterだけでなく、2ちゃんなるや掲示板なども対象にしました。しっかりと集計したわけではないので、実際はどうなのかは分からないですけれど。現実世界とインターネットで、流通量に差がある言葉は『死ね』ではないでしょうか」

    これについて「裏サイトや深層webなんかよりよほど恐ろしい」と述べる。

    また、母数が違うのでなんとも言えないが、初期のTwitterは「死ね」という言葉は少ないようにみえるとも分析する。

    今後のついて。

    “中の人”は「今後も発掘作業は続けていく」と話す。

    しかし、「そのうち飽きるかもしれませんので、当協会は発掘作業員を募集しております。複数人でやった方が飽きづらいですし、飽きても跡継ぎがいるなら辞めやすいですし」とも。

    興味がある人は“中の人”に連絡をしてみてはどうだろうか。

    Twitterを通じて見える日本のSNS社会。気づくことは多いかもしれない。