世界から「お漏らし」がなくなる? 排泄予知デバイスが目指すものとは

    開発者の実体験から生まれた。

    「うんこを漏らして惨めな思いをするのは僕1人で十分だ!」

    排泄予知デバイス「DFree(ディーフリー)」を開発したトリプル・ダブリュー・ジャパンの中西敦士代表は、きっかけをこのように話す。

    排泄予知デバイスとは?

    DFreeとは、腹部に貼るだけで便や尿が「10分後に出ます」とスマホに通知してくれる世界初のデバイス。

    超音波センサーで膀胱や前立腺、直腸をモニターして、その“膨らみ”などのデータから排泄時間を予知する仕組みだ。

    開発のきっかけは実体験?

    なぜ、排泄予知デバイスを開発しようと思ったのか? それは実体験がきっかけだという。

    「あれは2013年のことですね。当時、私はサンフランシスコ近郊のバークレーに留学中でした。新たなホームステイ先に引っ越しをしているときのことです。新居は徒歩30分ほどだったので、歩いて荷物を運ぶことにしました」

    「1往復目に洋服を運び終えて2往復目。半分の距離まで来た時に、急な腹痛に襲われました。『これはやばいな…』と。なんとか踏ん張ったんですが、限界が来てしまい道端で漏らしてしまいました。ちょうどアンドロニコス前だったのをいまでも覚えています」

    Here at the store bright and early to pack up for the Two Greatest Days On Planet Earth #Caltopia2016

    ▲アンドロニコス。オーガニック食品などを扱うスーパーマーケット

    その場は友人に助けを求め、難を逃れたそう。中西さんは深く傷つき、このときの体験がいまに繋がっている。

    「せめて家を出る前に、便意が来ることを知っていれば…と思いました。『粗相は人間の尊厳の問題だ』と」

    同時期に日本のニュースサイトで「大人用のオムツの市場規模が赤ちゃん用を上回る」というニュースを目にした。

    「排泄について困っている人は多いのでは? もし何分後に便意や尿意が来るとわかれば、喜ぶ人はきっと多い」と考え、開発に至った。

    介護現場にも革命か?

    このDFree、一般からの問い合わせも殺到しているが、まずは法人を対象にした販売を展開する。それは介護現場が主だ。

    介護施設の協力を得て検証。介護者に対し、おむつ替えのタイミングや、トイレ誘導などを通知することで苦労を軽減することができると考える。

    「ほかにも夜尿症や女性の便秘などにも役立てると思っています。2020年には、世界中で60歳以上の人口が数億人規模になるそうです。これまで以上に、排泄が難しい世の中になっていきます」

    実体験から生まれたDFree。彼が目指すのは、誰もが「漏らさないで済む」世界だ。