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ネット販売の精力剤に「バイアグラの5倍の成分」 健康被害の可能性も

無承認・無許可の商品に注意!

インターネット上で「健康食品」「海外製医薬品」などとして販売されている商品がある。

この中には、医薬品成分を含みながら、通常の医薬品のような承認や許可を受けていないものがあり、健康被害や、過去には死亡事例も報告されている。

厚生労働省は3月31日、「インターネット販売製品の買上調査」(調査は2014年度に実施)の結果を発表した。

そして、調査の対象となった一部の「強壮効果を目的とする商品(精力剤)」からは、ED治療薬の5倍の医薬品成分が検出されたことがわかった。

「発がん性物質」「麻薬成分」も

厚生労働省では消費者への注意喚起を目的として、インターネット上の「いわゆる健康食品」「海外製医薬品と称する製品」「危険ドラッグ」を対象に、実際に購入してその成分などを定期的に調査している。

この調査の結果を3月31日に発表(調査は2014年度に実施)。「いわゆる健康食品」のうち、強壮効果を目的として使用される商品(精力剤)の72製品中42製品から「シルデナフィル」など9種の医薬品成分を検出したと報告している。

「シルデナフィル」は、EDの治療などに使用されるバイアグラなどの医薬品の主な成分で、「心筋梗塞等の重篤な心血管系等の有害事象」も報告されている。

今回、調査の対象になった商品には、「シルデナフィル」を1日に使用できる限界量の50mgを5倍以上上回る270mgも含むものがあった。

他にも「いわゆる健康食品」のうち、シルデナフィルに加えて、発がん性が疑われるフェノールフタレインを含む製品があったこともわかった。

調査では、健康食品以外にも「危険ドラッグ」84製品中7製品から麻薬成分を検出したことや、「海外製医薬品と称する製品」のうち、10製品中4製品に、成分記載と異なる医薬品成分が検出され、偽造医薬品と判明したという。

過去には輸入ダイエット薬による死亡例あり

このような商品は、有害成分や表示とは異なる量を含んでいたり、不衛生な環境で製造されていたりと、さまざまなリスクを抱えている。

過去には、ダイエット目的でタイから輸入されていた「ホスピタルダイエット」という商品に向精神薬などが含まれており、複数の都道府県から死亡例を含む健康被害の事例が報告されたことが問題になった。

医師や薬剤師などの専門家であっても、インターネット上で販売されている無許可・無承認の製品については十分な情報はなく、万が一、健康被害があっても、迅速に対応することができない可能性がある。

また、医薬品医療機器等法で承認されている医薬品は、適正に使用していれば副作用について患者の救済制度があるものの、今回のような製品による健康被害はその対象にならない。こうした医薬品を個人輸入した場合、健康被害が出ても自己責任だ。

厚労省の担当者は、BuzzFeed Newsの取材に対して、次のように話した。

「できるだけ、インターネット上で健康食品や海外製医薬品を自己判断で購入せず、許可・承認されている医薬品を医師の診察を受けて処方してもらうようお願いします」