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国内で続く「はしか」感染者 GWの海外旅行にご用心

はしかは「空気感染」する病気です。

日本の空の入り口は、今も脅威にさらされている

関西国際空港内の事業所の従業員がはしか(麻しん)に感染していたことが判明したと、大阪府が4月7日に発表した。

空港を運営する関西エアポート株式会社は公式サイトで、感染の可能性がある3月28日~30日に、関西国際空港を利用した人に、速やかに医療機関を受診するように呼びかけた

BuzzFeed Newsが同社広報担当者に取材したところ、「空港内のどの事業所から感染者が出たのかについては、これまで府も明らかにしていない。体調に異変を感じたら、すぐに医師に相談してほしい」との回答があった。

この接触により症状が出現する可能性があるのは4月21日まで。また、受診の際には、事前に医療機関へ電話連絡の上、周囲への感染拡大を防ぐために、公共交通機関の利用は避けることが求められる。

同空港では2016年にも、グループ会社の従業員1人がはしかに感染したことをきっかけに、合計33人の集団感染が発生している

なぜ、このような注意喚起をしたのか?

それは、はしかが空気感染をする病気であるためだ。

はしかは「麻しんウィルス」を病原体とする感染力の強い病気で、空気感染だけでなく、飛沫感染、接触感染でも、人から人に感染する。はしかに免疫を持っていない人が感染すると、発症率はほぼ100%と言われる。

原因の除去には陰圧室のような設備や、特殊なフィルターが必要で、手洗い・マスクのみでは予防できない。そのため、当該時期の空港利用者全員への呼びかけになった。

主な症状について、厚労省は公式サイトで次のように説明している。

感染すると約10日後に発熱や咳、鼻水といった風邪のような症状が現れます。2~3日熱が続いた後、39℃以上の高熱と発疹が出現します。肺炎、中耳炎を合併しやすく、患者1,000人に1人の割合で脳炎が発症すると言われています。死亡する割合も、先進国であっても1,000人に1人と言われています。

出典:麻疹について - 厚生労働省

また、妊娠中にはしかにかかると流産や早産を起こす可能性もある。妊娠時はワクチン接種ができないため、はしかの流行時には外出を避け、人混みに近づかないようにするなどの注意が必要だ。

「排除状態」のはしか、どう感染?

麻しんウィルスに一度感染してはしかを発症すると、一生免疫が持続し、以降の感染・発症を防ぐと言われる。近年ははしかのワクチンの「2回接種」が行われているため、感染者の人数は減っている。

2015年には、世界保健機関(WHO)により、日本がはしかの「排除状態(国内由来の感染がない状態)」にあることが認定された。

しかし、今回の関西国際空港の注意喚起より前から、山形県島根県などの複数の自治体で感染者が発見されている。

原因については、主に日本のはしかのワクチン接種制度が変遷したことにより、世代によってはワクチン接種を1回も受けていない人、1回しか受けていない人がいて、その状態では免疫が病気を防ぐ機能が不十分であるためだと考えられている。

GWなどの海外旅行シーズンに注意

これからのシーズンはゴールデンウィークの長期休暇を利用して、海外旅行を楽しむ人も増えるが、海外のはしかの流行地域から病気が「輸入」され、空港などで感染が報告されることもある。

2016年5月時点の情報では、モンゴル、中国、マレーシアではしかの罹患率が高かった。その他、アフリカ、南アジア、欧州などの予防接種率の低い国では依然として患者数が多い。

厚労省は、流行地域を旅行する際、はしかの予防接種を2回受けていない場合、または接種歴が不明の場合には、予防接種を受けることをすすめている。

また、はしかに限らず、海外で注意が必要な感染症について、厚労省は公式サイトやTwitterで、以下のように注意喚起をしている。海外旅行に行く予定があれば、一度確認してみてほしい。

【海外での感染症を防ぐためのポイント】 ●蚊やマダニに刺されないよう、長袖長ズボンの着用や虫除け剤を使う ●MERSや狂犬病に感染する恐れがあるため、むやみにラクダや犬等の動物に近寄らない ●生水・生野菜・氷・カットフルーツを避け… https://t.co/RSYYCdLyvr