話題のみずほ総研「とんでも予想」で読み解く2017年

    意外と当たる……?みずほ総研が発表する「とんでも予想」に注目が集まっている。2017年、「とんでも」化する世界を読み解く。

    「とんでも」化する世界情勢

    意外と当たるのでは……?昨年(2015年)の年末にトランプ大統領誕生を予想したレポートに注目があつまっている。

    みずほ総研「とんでも予想」だ。「とんでも」を自称するくらいなので起きる「可能性は低い」が、起きたら影響が大きく重要度が高いものをまとめている。

    2016年版の「とんでも予想」から抜粋する。アメリカでトランプ大統領が誕生し、ブラジル・リオデジャネイロ五輪は開催できず、ルセフ大統領が罷免される……。

    トランプ氏は言うに及ばず、さすがに「リオ五輪開催できず」は外れたが、ルセフ大統領罷免は現実のものとなった。ちなみに、世界を驚かせたイギリスのEU離脱は最終選考まで残っていたという。

    みずほ総研の市場調査部長、長谷川克之さんは、BuzzFeed Newsの取材にこう話す。

    「つまり、普通の予想が覆されること、想定できないことが次々と起きる世界情勢になっているということでしょう。堅調な予想が当たりにくい年であったとも言えます。私たちの予想も、あくまで可能性は低いもの。しかし、それが起きてしまった」

    当たったかどうかは、あくまで市場に判断してもらうこと、と断りつつ「とんでも」なことが起きている世界情勢をこうみる。

    「世界経済は景気が停滞していて、先行きも不透明。景気への不満、広がる格差への不満は世界中にあります。既存の政治にNOという声も高まっていて、先行き不透明感は増している。欧州各国で、2017年は選挙イヤーです。そうなると、2017年も『とんでも』な予想があたる時代が続くともいえます」

    つまり、情勢そのものが「とんでも」化しているという見方だ。

    2017年も「とんでも」が続く?

    さて、来年はどうなるのだろう。2017年版の「とんでも予想」をみると、トランプ氏関連の予想が目立つ。1位は、アベノミクスがトランプ氏の経済政策の影響を受けて大型減税。カジノが目玉の「トランプ・ホテル」を誘致、となっている。

    この予想はさすがに当たりそうもないような……。長谷川さんが大真面目に解説する。

    「確かにトランプホテル誘致はかなり起こりそうもない。でも、訪日旅行客向けのカジノは目玉の一つでしょうし、アメリカ資本の誘致もありえなくはない」

    「トランプ氏の経済政策についていえば、いまメインシナリオ、市場は楽観的な見方をとっています。財政政策を中心に期待が集まっている」

    しかし、と続ける。「それは良いトランプ、悪いトランプのうち、良い面だけを見ようというものです。悪い面、つまり強硬的な外交政策などが強まった時にどうなるか。これまでの常識が通用しないだけに、不安はいつでも高まります」と注意を促す。

    「とんでも」で備える

    そして、欧州はドイツでメルケル首相退陣、フランスで極右政党の勝利など、普通に考えたら起こりそうもないことが予想されている。

    長谷川さんが何度も繰り返したのは「従前の枠組みでは考えらないことが起きる」ことだった。メインシナリオだけでは「想定外」が続くが、「とんでも」シナリオも備えておくと「想定内」が増える。

    「とんでも、にも一定の留保が必要なんです」と長谷川さん。むしろ、主役は「とんでも」。そんな2017年になるのかもしれない。