【都知事選】政策論争呼びかける増田候補 でも、最大のアピールは小池批判

    自民・公明による組織戦。

    7月31日投開票の東京都知事選。主要3候補の公約と街頭での訴えをチェックする。今回は自民・公明などが支援する増田寛也さん(64歳)。

    増田さんの最大の援軍は、安倍晋三首相だ。選挙期間中に「都政の混乱を収拾し、都民の信頼を回復できるのは、行政経験が豊富で誰からも信頼の厚い、増田寛也さんがもっともふさわしい」と増田さんを支持する動画を公開した。

    さらに新しい援軍も出てきた。石原慎太郎元都知事だ。

    自民からの推薦を得ずに立候補した小池百合子さんを「大年増の厚化粧でうそつき」、野党統一候補の鳥越俊太郎さんを「売国奴」と激しく非難、増田さん支持を表明した(朝日新聞)。

    そんな増田候補の売りは「実務能力」。選挙戦では各候補者に「もっと政策論争をしたい」と呼びかける。Twitterでも「#政策で議論しよう」とハッシュタグ付きのツイートが増えている。

    子育て支援、待機児童問題は?

    その政策で何を訴えているのか。増田さんのウェブサイトでは、インフォグラフィック詳細版とに分けて、政策を紹介している。

    インフォグラフの1枚目には、待機児童問題を持ってきた。

    1ヶ月以内に、地域ごとのプログラムを作ると時期を明記したのが特徴だ。

    詳細版では「保育士の処遇改善(給与アップ、家賃補助) 、兄弟姉妹は同じ保育園に、病児保育の充実 」なども掲げる。

    女性の活躍推進も明記。管理職の比率も倍増させるという。詳細版では「都庁における女性の活躍推進 」として、「男性の育児休暇取得の義務化」「フレックス勤務や在宅勤務などの試行導入 」などを紹介している。

    この他に、こんな公約を掲げている。

    • 防災強化
    • 木造住宅密集地域の不燃化、耐震化をスピードアップ
    • 帰宅困難者の一時滞在施設を大幅に増加
    • 大災害発生時の近隣・遠方自治体との連携

    応援団は小池候補批判

    7月28日。石原元都知事の息子で、自民党都連会長を務める石原伸晃さんの地元・杉並区での演説会に増田さんはいた。

    公明党衆院議員で、党の選対委員長を務める斉藤鉄夫さんは、暗に小池さんを批判した。「東京に必要なのは対立ではなく、対話と調和。それができるのは増田寛也候補だけであります。対立を煽る知事を選んでは失望してしまう」

    石原さんが続けてマイクを握る。「自民党から候補者が一人、フライングして立候補してしまった。公明党の皆様方に申し訳ないと思っております」と、こちらも小池さん批判する。

    そして、登場した増田さん。

    「子育て、高齢化の不安を解消する。保育所を作る、保育士さんの待遇改善。24時間、医療と介護、切れ目のない体制を作って安心感を持っていただく」と、早口で政策をまくし立てた。

    強調する連携、小池さんを意識

    「(待機児童対策など)他の皆様も同じようなことを言ってるが、本当にできるんでしょうか?保育所は都知事が全部やれるわけでない。(保育所の整備は)区の行政なんです。行政を動かすためには都だけでなく、区としっかりと連携がとれる。国の力も引き出していく。このような体制が必要なんです」

    「思いついきや独りよがりで都知事がなんでもできるなんてことはない」「いきなり都議会を解散して、混乱をまして、予算がでてくるわけない」

    ここでも、小池さんを意識した発言が続く。

    常に小池さんを意識する増田さん陣営。この日夜、大田区の小学校で開かれた演説会でマイクを握った自民党の茂木敏充・選対委員長はこう語った。

    「劇場型の劇団ひとりでは、都政は動かせない。今回も『女劇団ひとり』が出ています。誰だかわかると思いますけど。やっぱりそれでは動かせないんです。最初は自民党に推薦してほしいと言ってきたんです。どうも分が悪いんで、それを自分で引っ込めた」

    自民党幹部にとって、増田陣営にとって小池さんはどうしても、なにか一言、言わないと気がすまない。そんな存在になっているようだ。

    増田さんも続く。「ある候補は、通勤電車を二階建てにすると言っているが、これでは都政が破綻する。他の予算が置き去りになる。私はできることをしっかりと約束する。そのためにも都議会や区長さんと連携をとる」。

    政策への言及は要点にとどめ、「連携」と「実務能力」をキーワードにライバルの小池さんを批判する。

    政策論争を訴えつつ、実態はそうではないように見える。