【都知事選】ネット討論会はユーザー質問で大盛況 でも、鳥越さんの姿はなし

    「まだ見たい」

    都知事選、最後の日曜日だった7月24日夜、ドワンゴなどネット企業各社でつくる「わっしょい!ネット選挙」が主催する、候補者討論会が開かれた。

    有力とされる3候補のうち、自民・公明が推薦する増田寛也さん、自民党所属ながら独自に立候補した小池百合子さんは参加した。しかし、開始直前、「鳥越俊太郎」と書かれたネームプレートが、そっと片付けられた。

    野党統一候補の鳥越俊太郎さんが「日程があわない」として欠席したためだ。

    候補者討論会にはこのほか、山口敏夫さん、上杉隆さん、中川暢三さんも登壇した。

    鳥越さんを除く有力2候補は、何を語ったのか。

    盛り上がったユーザーからの質問は

    鳥越さんが欠席した影響もあり、記者席は空きが目立ったが、討論自体は盛り上がった。最大の貢献者は、鋭い質問を投げかけたユーザーたちだ。

    まず、登壇者全員への質問は、これだった。

    「スキャンダルによる辞任が続く都知事。皆さんは本当にクリーンですか?」

    ファーストクラス利用を批判されていた増田さんは?

    カジュアルなボーダー柄のポロシャツ、うすい緑のパンツに、清潔感ある真っ白いランニングシューズで登壇した、増田さんの回答はこうだ。

    「もちろん、クリーンです。民間人として活動を続けてきた。政治資金も使っていないし、完全にきれいです。大事なのは知事になってからのお金の使い方。前都知事が批判をされたのが、知事としてのふるまい。公用車、海外出張も、自らを律するという形で行動規範をつくる」

    増田さんは岩手県知事時代、舛添要一前都知事と同様、ファーストクラスを利用していたことなどを批判されている。

    政治とカネ疑惑が報じられた小池さんは?

    テーマカラーの緑のブラウス、同じように清廉な印象を与える白のスラックス、パンプスを合わせた小池さんはこうだ。

    「基本的には、公私混同があるかないかが問題だと思っています。飲食にまつわる話が一番、公私混同されやすい。私の政治資金は、最初からやせ我慢で、飲食費は除外している。北欧などで政治への信頼が高いのは、透明性が確保されているからだ。(都知事、都議は透明性確保に)努力すべきです」

    小池さんは立候補を表明してから、政治とカネの疑惑が「週刊文春」などで報じられてきた。自身の報道に直接の言及はなかったが、政治資金に対する考え方は明確に回答していた。

    ユーザーから、各候補者への個別質問が続く。

    借金を増やしたことは→増田候補

    増田さんへの質問は、「岩手県知事時代に、借金を増やしたことをどう考えているか」

    増田さんの回答は「任期中に増えているのは事実。箱物というよりも、それぞれの将来をみた投資をしたつもりです。東日本大震災のときに生かされたと思います」

    都議会冒頭解散って→小池候補

    小池さんへの質問は、「都議会冒頭解散のお話はどうなっているのか?」

    回答はこうだ。「前提は、議会が知事に対する不信任案を決議したら、ということ。自民党議員である私、最初に手をあげてきた私を、そもそも推薦する流れになっていないことが、『不信任』にあたるのではないか」

    「当選して、最初の議会で不信任案が出ないのならば、それは信任をいただいたということ」と、増田候補の推薦を決めた自民党都議らを牽制するような発言が飛び出した。

    「まだみたい」

    「まだみたい」「鳥越さんも見たかった」。ニコニコ動画では、中継が終わった瞬間、こんなコメントがあった。視聴者アンケートでは約8割が「良かった」と回答。候補たちも1時間ちょっとでは、語り足りない様子だった。

    選挙戦を通じて、有力候補3人が揃って、論戦を繰り広げる機会は、もうないのか。7月31日の都知事選投開票日まで、1週間を切った。