ベストセラー「日本会議の研究」に出版差し止め仮処分命令 著者は「こちらの主張ほぼ通った」

    1カ所の削除修正が求められた

    ベストセラーの新書『日本会議の研究』(扶桑社)に登場する男性が、名誉を傷つけられたと申し立てていた仮処分で、東京地裁(関述之裁判長)は1月6日、「真実でない部分があり、損害も著しい」として出版差し止めを命じる決定をした。

    同書は、民間の保守派団体「日本会議」のルーツや歴史、彼らが展開してきた保守系の市民運動について取材、検証しているもの。

    関係者によると、裁判所が削除・修正を命じたのは第6章の1カ所。宗教団体の活動の中で自殺者が出たが、宗教団体の幹部だった男性がそれについて「馬耳東風であった」とする記載だった。

    東京地裁はこうした記述について、客観的な資料が存在しないことや、男性への直接取材をしていないことなどから、「真実でないと言わざるを得ない」と判断した。

    著者の菅野完さんはBuzzFeed Newsの取材に対し、次のようにコメントした。

    「決定内容を読んだが、こちら側の主張通り、差し止め請求がほぼ全面的に却下された。言論の自由の観点からも安堵している。1カ所だけ削除修正を求められていることは、極めて遺憾。今後の対応は、版元である扶桑社と協議して決めていきたい」