羽生三冠、渡辺竜王も巻き込んだスマホ不正 疑惑の棋士に「不正の証拠なし」

    スマホを使ったカンニング疑惑をかけられた三浦弘行九段。「不正を認める証拠はない」と認定された。認定された理由とは……?

    疑惑はどう判断されたのか?

    三浦弘行九段が対局中に、スマホで将棋ソフトをつかったカンニング行為があったとされる問題。日本将棋連盟が、調査を委託した第三者委員会が12月26日、記者会見を開いた。疑惑をかけられた三浦九段は、年内出場停止処分となっている。

    元検事総長で、委員長の但木敬一弁護士は三浦九段が不正行為に及んでいたと、認められる証拠はないと判断したと発表した。

    1. 不正の根拠とされた離席行為の事実がないこと
    2. 対局中の監視で不審行為は認められなかったこと
    3. 不正の根拠とされたソフトとの一致率が分析ごとにばらつき、不正の根拠とならないこと
    4. 三浦九段のスマホなどを分析。不正を疑われた対局で、不正をした痕跡は確認できなかったこと

    上記4点などを挙げ、結論として不正行為に及ぶ証拠はないと説明した。一方で、将棋連盟に出場停止処分については「竜王戦開幕を数日後に控え、不正行為疑惑が解消されていない、という非常事態における措置として、連盟の判断はやむを得ない」とした。

    シロか、クロか。当代屈指の人気棋士も発言、論争が起きる

    疑惑を巡っては、竜王戦で三浦九段と対戦する予定だった、渡辺明竜王は「週刊文春」の取材に応じ、三浦九段の不正行為について「間違いなくクロ」と確信した経緯などを語っている。

    三浦九段の対局も含めて調べ、指し手の一致、離席のタイミング、感想戦での読み筋などから「間違いなく“クロ”だ」と確信したという。

    渡辺竜王は自身のブログでこんな見解も出した。

    三浦九段の対局中の行動及び、棋譜の観点からも疑問が生じている(ソフト指しがあったと断定はしていない)ことから、常務会が竜王戦の開幕前に三浦九段に話を聞く、までが自分の行動意図です。

    羽生善治三冠は妻の理恵さんのツイッターを通じて、三浦九段は「灰色」であると発言した事実を認め、「今回の件は白の証明も黒の証明も難しいと考えています。疑わしきは罰せずが大原則と思っていますので誤解無きようにお願いを致します」などとコメントしていた

    橋本崇載八段は自身の著作「棋士の一分 将棋界が変わるには」(角川新書)の中で、疑惑について「一流棋士は対戦相手のちょっとした動揺も見逃さない。おそらく当事者からすれば『疑惑』ではなく『確信』に近いものがあったのだろう」と言及した。

    現役棋士やファンの間で、クロかシロかを巡って、論戦が続いていたが、この第三者委の認定はどう受け止められるのか。騒動は続く。