「国民(あなた)と進む」民進党に聞いた支持率が低い理由

    参院選まで、残された時間はあと1ヶ月と1日…

    民進党が6月9日、参院選に向けたポスターを発表した。「国民(あなた)と進む」という言葉とともに、こちらを見つめる岡田克也代表。会見で直接聞いてみた。「でも、不人気なのはなぜですか?」

    「ポスターの発表会見にうつります」「はいこちら、ムービーさんが撮りますから、スチールさんしゃがんでください」。岡田克也代表が、3枚のポスターの横に立つ。記者、カメラマン20人弱が一斉にシャッターを切った。

    永田町・民進党本部の会見場。「国民(あなた)と進む。」「まず2/3をとらせない。」「人からはじまる経済再生。」と3枚のポスターが並んだ。

    説明のないまま提示される3分の2という数字。3分の2は憲法改正のために必要な国会議員の数だが、説明なしでわかる人は有権者のうち、どれだけいるだろう。

    「危機感を国民に持っていただきたい」

    「国民」と書いて「あなた」とルビを振る。ともに進むと宣言してみても、民進党は支持率で自民党に引き離されている。BuzzFeed Newsは、会見場で聞いた。

    「最近の世論調査の政党支持率で自民党は40%弱、(野党でいちばん議席を持っている)民進党の支持率は8%です。不人気の理由はどのように考えていますか?このポスターで不人気を挽回できると思いますか?」

    岡田代表は表情を崩さないまま、間髪入れずに答える。

    「ポスターだけの話ではありません。ただ、危機感を国民の皆様に持っていただきたい。国民の良識との戦いです。多くの方が、しっかりと認識していただければ、当然、民進党に対して投票していただけると確信しています」

    ここでいう危機感や、3分の2という数字は、改憲、とりわけ9条改憲を強く意識している。会見に先立ち、配布されたポスターの説明にはこうある。

    安倍政権は、憲法解釈の変更によって、あいまいな条件で集団的自衛権の行使を可能としました。次のねらいは、参議院選挙で3分の2の議席を確保して憲法9条を改正し、限定のない集団的自衛権の行使に道を開くことです。

    「危機感を国民の皆様に持っていただきたい」「しっかりと認識していただければ、当然、民進党に対して投票していただける」という岡田代表の言葉は、裏返せば、民進党の支持率が低いのは国民の危機感が足りないということだろうか。重ねて質問した。

    岡田代表は、私が最後まで言い切らないうちに、やや語気を強めて返答した。

    「そういう失礼なことは私は言っていません。私たちが訴えていくことが大事だと思っています」

    ちなみに国民と書いて、あなたと読ませる狙いはこうだ。

    国民の皆さまお一人お一人に寄り添う姿勢をより強く打ち出すために「こくみん」ではなく「あなた」と読んでいただけるよう、振り仮名を書き込みました。

    対する自民党は8日、主張を経済に絞り「この道を。力強く、前へ。」というキャッチコピーとポスターを発表している。アベノミクスをさらに前へ進める趣旨だという。

    前回の衆院選では「消費増税の再延期はしない」と訴えていたが、守られなかった。今度の「この道」はどこに進むのだろうか。

    参院選の投開票日は7月10日。残された時間はあと1ヶ月と1日だ。