1分でわかる参院選 自公圧勝、次の論点は憲法改正?

    最大の節目がやってくるか

    参院選の投票締め切りと同時に、各社の当確速報が出揃った。自民、公明の与党圧勝は、事前に報じられた通りだった。焦点はどこまで勝つか。自民党が主導する憲法改正に、賛成する政党の議席数が3分の2を超えるかだ。

    安倍首相の悲願、憲法改正には、この参院選で78議席が必要だ。

    3年に1度のチャンス、それが参院選

    憲法改正には、衆院、参院それぞれ3分の2以上の議席数が必要だ。衆院はすでに改憲賛成派で3分の2以上の議席を持っている。参院は解散がないので、3年に1度しかチャンスがない。

    今回の選挙で、文句なしの3分の2を獲得するには、改憲に前向きな自民、公明、おおさか維新、こころの4党で78議席が必要だ。

    もし届かなくても、改憲に賛同するとみられる無所属議員を含めれば、74議席で3分の2を達成する。

    78なら文句無し、74以上で可能性十分。今後、憲法改正に向けた議論が本格化するとみられる。

    1度も変わらなかった憲法

    人権の尊重、平和主義などを定めた憲法は、1946年の公布後、一度も改正はされていない。

    これまで、衆参あわせて改憲派で3分の2を獲得したことはない。大きなハードルを超えれば、今後の争点は、どこから改正するかに移っていく。

    改憲派の集会を取材しても、「改憲は必要だ」以外の一致点はない。自民党が打ち出す憲法改正草案は、平和主義を定めた9条の改正、天皇の元首化などを打ち出した全面改正案であり、保守色が強い。

    公明は長らく「加憲」を掲げているが、保守的な改正には難色を示している。

    おおさか維新の議員にいたっては「『美しい日本を取り戻す』とか『日本の伝統を取り戻す』といった精神的、道徳的、情緒的議論に偏重するとすれば、護憲派に付け入る隙を与えてしまう」と話す。

    かつて、安倍首相が掲げたスローガンを批判しているも同然だ。

    安倍首相支持派からは、非常時に内閣に権限を集中させる「緊急事態条項」を改憲派の一致点にすべき、という声があがっている。

    安倍首相自身は、選挙戦を通じて何を訴えてきたか。

    実は、争点を「アベノミクス」と打ち出し、憲法改正にはほとんど触れていない。9日の最後の訴えでも、憲法には一切触れなかった。