「そのまま使っていたらと思うとぞっとする」事故で大破したヘルメットが物語る

    ヘルメットの使用期間は3年。事故にあった男性は「古いヘルメットをそのまま使っていたらと思うと……」と話す。

    「本当に『ヘルメットがなければ即死だった』を人生で経験するとは思いませんでした…」

    BuzzFeed Newsの取材にそう話すのは、自転車ツーリング中に車と衝突し、大けがをする事故にあった大阪府の男性。

    最悪の可能性もあったなか、命を守ってくれたのは、万が一に備えて被っていたヘルメット。彼を救う代わりに、事故の衝撃で大破した。

    男性によると、事故が起きたのは、7月26日午前8時40分ごろ。

    滋賀県の琵琶湖1周ツーリング中に、坂道のゆるやかなカーブで突然ハンドル操作が効かなくなり、対向車線を走っていた軽乗用車に時速約40kmのスピードで衝突。

    男性の自転車に取り付けられたカメラが捉えた映像では、カーブの途中から直進しかできなくなり、小刻みに震えた状態のまま車に突っ込む様子が確認できる。

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    男性の自転車に装着されていたカメラが捉えた事故当時の映像

    男性はすぐにドクターヘリで近くの総合病院に運ばれたが、額を10針、唇を4針縫うなどの大けがを負い、事故前日の夜からの記憶を失った。軽乗用車の運転手に、けがはなかったという。

    事故原因は不明だが、男性は「路面の凹凸と車体の固有振動数が一致して共振を起こす『シミー現象』の影響で、ハンドルがぶれたのではないか」と推測している。

    退院後、男性は「ありがとう、ヘルメット。本当にありがとう」という言葉とともに、事故で大破した残骸の写真をTwitterに投稿。

    実はこのヘルメット、事故の数カ月ほど前に、使い古したものから新しいものへ買い換えたばかりだった。

    男性は、写真を通じてヘルメットの重要性を知ってもらいたいと話す。

    「事故が起きる数カ月前に、3年以上使っていたヘルメットをちょうど買い替えたところだったんです。なので、前の古いヘルメットをそのまま使っていたらと思うと、ぞっとします」

    「ヘルメットを被っていたら絶対にけがをしないわけではないですが、確実にけがの程度は軽減してくれます。この写真を通じて、ヘルメットの重要性を改めて知ってもらえたらと感じています」

    命を守るために大切なヘルメット。

    国内の大手ヘルメットメーカー「OGK Kabuto」のホームページには、正しいヘルメットの装着方法や手入れの仕方が詳細に解説されている。

    特に注目したいのが、ヘルメットの使用期間。同社では、3年を目安に買い換えることを推奨している。

    同社の広報によると、どんなにきちんとヘルメットを手入れしていたとしても、頭への衝撃を吸収するための発泡スチロールが、時間とともに紫外線や汗の塩分などで劣化し、性能が維持できなくなるという。

    「万が一の事故が起きたときのために、古くなったヘルメットはずっと使い続けずに、3年を目安に交換していただいた方が安心です」と話した。