2016年の検索ピークは2回
ゼノフォビアという単語が最も検索されたのは昨年4月。南アフリカで外国人労働者への暴力が広がったときだった。
今年に入って、検索ピークは2回あった。
6月24日、検索数が直前から10倍超に跳ね上がった。前日に、イギリスでEU離脱をめぐる国民投票があった。
2回目のピークは米大統領選をめぐって、6月29日にオバマ大統領が話した後だった。
ドナルド・トランプ氏の発言を念頭に、オバマ大統領は記者会見で「これは移民排斥主義だ。またはゼノフォビアだ。または、それ以下。または、ただの皮肉な考え方だ」と述べた。
11月8日にあった大統領選の翌日も検索量は増えたという。サイトはこう説明している。
「今年アメリカでは、憎悪を駆り立てるオルト・ライト、白人ナショナリズムなどのイデオロギーが台頭した。その憎悪は特にイスラム教徒、ラテン・アメリカ系アメリカ人、ユダヤ人、トランスジェンダーやクィアのコミュニティ、黒人、非優位のグループに対するものだった」
「立ち向かわねばならない」
カリフォルニア大バークレー校公共政策大学院のロバート・ライシュ教授はイラストをまじえ、こんな動画メッセージを寄せた。
「近年、賃金が停滞し、経済の行き先を不安視するアメリカ人が増えるにつれ、政治家たちがこの恐怖心を利用し始めた。恐怖心をゼノフォビアに変えた。他者への恐怖だ。アフリカ系アメリカ人、メキシコ人、イスラム教徒への恐怖だ」
「このようなスケープゴートは、世界の歴史でなにも新しいものではない。危険なものだ。我々を分断する。嫌がらせやいじめ、もっとひどいことさえ誘発する。寛容と思いやりから離れ、侮蔑や憎悪へ向かわせる」
「ゼノフォビアは直面する大きな脅威だ。祝うような言葉ではない。立ち向かわなければならない感情だ」
各社が発表する「今年の英単語」
世界最大の英語辞典「Oxford Dictionaries」はすでに「post-truth(ポスト・トゥルース)」を今年の単語に選んでいる。
世論形成において、客観的事実よりも、感情や個人的信念に訴えるものが影響を与える状況を表す形容詞だ、と説明している。
アメリカの辞書会社Merriam-Websterや、学者らの団体American Dialect Societyも発表を控えている。後者が「今年の単語」を発表する伝統を1990年に始めた。
清水寺で揮毫されることで有名な日本の「今年の漢字」は1995年、日本漢字能力検定協会が始めた。12月12日に発表される。