すべてを懸けて勝ち取った銀メダルをオークションに。それは、難病の少年を救うため

    金メダルより尊いもの

    オリンピックのメダル。トップアスリートたちが、全てをかけて目指す世界の頂点だ。リオ五輪の男子円盤投で2位だったポーランドのピオトル・マラチョフスキ選手は、その銀メダルを手放すことにした。難病の少年を救うために。

    3歳の少年、Olekくんは網膜芽細胞腫という目のガンを患っている。ポーランドでは治療が難しく、家族は米ニューヨークでの治療を望んでいた。

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    ロイター通信によると、必要な治療費は約48万ズウォティ(約1260万円)。すでにポーランドのSiepomagaという財団が3分の1ほどを集めていたが、渡米にはまだ足りない。

    そこで立ち上がったのが、この話を聞いたマラチョフスキ選手。治療費のために、オークションサイトに自分の銀メダルを出した。

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    8月19日、Facebookにこう書き込んだ。

    「オリンピックでメダルを取ることはアスリートにとって生涯の夢です。すべてをかけた金メダルでしたが、残念ながら今回は取れませんでした。でもこの銀メダルをもっと輝かせられるチャンスがきたんです」

    「リオでは金メダルを目指して闘いました。いま、皆さんにお願いします。もっと素晴らしいもののために、一緒に闘いましょう。この男の子の健康です」

    「皆さんの助けがあれば、わたしの銀メダルは、金メダルより尊いものになるでしょう」

    まだ、足りない・・・

    ESPNによると、8月24日時点で集まった金額は約190万円。目標金額には届いていなかった。

    そこに現れたのが富豪の姉弟

    ドミニカ・クルチェクとセバスチャン・クルチェクの姉弟が銀メダルを購入し、必要な経費をすべてまかなうと申し出たという。

    Forbesによると、2人の資産は計34億ドル(約3460億円)で、ポーランドで一番の富豪。昨年、父親から遺産を引き継いだ。

    喜ぶマラチョフスキ選手

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    8月24日、Facebookで感謝を述べた。

    「メダルはクルチェクさんたちにお渡しします。オークションに参加していただいたみなさん、ありがとうございました。力を合わせれば、奇跡が起こせると証明できました。わたしの銀メダルの価値は重くなりました。1週間前とは、比べものにならないほど」