【参院選】憲法改正が争点だった? 各新聞社で結果の報じ方がまったく違う

    「取り組むべき」「ゴーサインが出たとはいえない」

    参院選の結果が出た。獲得議席は自民56、民進32、公明14、お維新7、共産6、社民1、生活1、無所属4。同じ事実でも、報じ方は新聞社によってまったく違う。

    読売だけが、横見出しより小さい縦見出しに「改憲」としている。

    読売の政治部長は「選挙戦で有権者が重視した政策は『社会保障』や『景気・雇用』だ」と書いた。

    読売の社説が、憲法に触れたのは最後。「憲法改正にとって、改憲勢力の拡大は前進ではあるが、これで改正発議が現実味を帯びたとみるのは早計だろう。具体的な改正項目について、各党の足並みが必ずしもそろっていないからだ」

    一番踏み込んだのは産経。見出しから「発議可能に」。改憲への意欲が紙面にみなぎる。

    「いまこそ憲法論議を」という産経の政治部長。「与野党の最大の対立点が安保法制だった」と、読売とは違う解釈をした。

    産経の社説も同様だ。脱デフレ、安全保障体制の強化、憲法改正に総力を挙げる「責任を、安倍首相は負ったといえよう」

    日経の見出しは「改憲勢力 3分の2」

    日経の政治部長は「憲法改正への扉を開いた選挙」ではなくて「『デフレ脱却の契機となった』と語り継がれなくてはいけない」。産経と違う解釈。(誰が語り継ぐの?)

    日経の社説は、自民党の改憲草案をこき下ろした。「保守色が濃すぎてとても多くがのめる代物ではない。見直しの党内論議を求めたい」

    毎日の見出しは日経とほぼ同じ。「改憲勢力 3分の2超す」

    毎日の主筆も「自民党が復古調の改憲草案を撤回すること」を求めた。

    毎日の社説は3分の2の意義をこう解説。「今回の参院選は戦後政治史の転換点になる可能性がある」

    朝日の見出しは「改憲4党 3分の2に迫る」。「改憲勢力」という言葉を使わず、慎重な表現。

    朝日のゼネラルエディターは「戦後政治と、その支柱となってきた憲法が大きな曲がり角を迎えつつある」。毎日とおなじ見方だ。

    朝日の社説は「『後出し改憲』に信はない」。「この選挙結果で、憲法改正に国民からゴーサインが出たとは決していえない」

    朝日の一面の名物コラム「折々のことば」では、鷲田清一さんがこんな言葉を取りあげた。

    「どこにいくのかなあ?」「というより なにから逃げてるかが 問題よ」

    (ムーミンとミイの会話)

    鷲田さんは、こう指摘する。

    「何かから逃げているだけなのに、どこに行くべきかと、人もよく問題をすり替える」