ウエディングドレスのジッパーが壊れた……結婚式の直前、助けた恩人はシリア人難民だった

    仕立て屋ドゥドゥさんはシリア・アレッポから4日前に移住したばかりだった。

    花嫁のカナダ人ジョー・ドゥさん。少女のころからの憧れの結婚式は、トロントの南西ゲルフにある川沿いの家を貸し切り、友人や家族を招くことにした。9月25日、天気に恵まれ、最高の式になるはずだった。その瞬間までは。

    花嫁のドゥさんがウエディングドレスを着せてもらっているとき、ジッパーが壊れてしまった。誰も直せない。日曜日でどんなお店も閉まっている。花嫁の介添人は、隣家に走って助けを求めた。

    そのとき、ドアをノックする音が。シリアから難民として移住したイブラヒム・ドゥドゥさんだった。仕立て道具一式を持って、幼い息子と助けに現れた。

    ものの数分、ウエディングドレスは完璧に直った。

    シリア人のドゥドゥさんはCTV Newsに、役に立てて「とても嬉しいです。心からカナダの方たちの助けになりたいと思います」と話した。

    花婿のアール・リーさんはCTV Newsに「僕たちはとても幸運だった。とても感謝しています」と話した。カナダ人であることに、これまでにないほど誇りを感じているという。花婿リーさんの両親も移民で、花嫁ドゥさん自身も移民だ。

    ふたりの結婚式を撮影していたカメラマンのリンゼイ・コルターさんは、このエピソードをFacebookに投稿した。

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    コルターさんはBuzzFeed Newsの取材にこう話した。

    「(ドゥドゥさん)父子は英語が話せないので、ボディーランゲージで意思疎通していました」

    「花嫁のご家族の多くは中国からいらっしゃっていて、英語はあまり使われていなかったんです。みんながジェスチャーで意思疎通をしていて、感謝を伝えるためにお辞儀をしている様子はとても感動的でした」

    カメラマンのコルターさんは「カナダに住んでいることを誇りに思います。カナダは何度も難民に門戸を開いてきました。こうした見知らぬ人々を自宅に受け入れ、ともに生活する家族を尊敬します。シリアの人々のくじけない心にも励まされます」と投稿。50万人以上が読んだという。

    Facebook: lindsaycoulterphoto

    カナダに住む人からは「カナダ人であることを誇りに思う」、他国の人からは「自国もカナダに倣ってほしい」というコメントが相次いでいる。

    「素晴らしい話ですね、リンゼイさん!シェアありがとうございます」「こんなに素晴らしい人たちがカナダに移住してくださったことを嬉しく思います」

    「これが私の知るアラブの精神です。そしてカナダの精神です。親切心、シェアする気持ち、寛容な心という人間の精神で、わたしたちの最良の知恵です」

    「シリア人の私は、ここ数年で人間を信じられなくなり、何が起きようとも故国を離れるつもりはありませんでした。というのも、尊厳と自尊心を失うような恐れを持って遠い場所で孤独でいることほど辛いことはないですから…でも、こんな親切で心温まる話を読んで、まだ善良な心を持った人々がいることが分かりました。とくにカナダの地域社会に」「シリア人を代表して、カナダの方たちに感謝の気持ちをお伝えします」

    英語を勉強中のシリア人・ドゥドゥさんの元には、仕事の依頼が次々と舞い込んでいる。

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