「キャベツ太郎」「焼肉さん太郎」「蒲焼さん太郎」…。駄菓子の多くに「太郎」がつくのはなぜなのでしょうか。そして呼び捨てとさん付けの境界線は? 駄菓子メーカーの菓道(本社・茨城県常総市)に長年の疑問をぶつけてみました。
問題の太郎菓子
同社が製造する駄菓子で「太郎」がつくものは、現在販売中のものに限っても実に22種類。これほど多くの太郎菓子が誕生した理由は何なのか。
担当者は「一番最初に発売した『餅太郎』がヒットした関係で、私どもの商品には太郎が多いんです」と明かしました。
餅太郎の発売は菓道が株式会社化する前年の76年。会社よりも長い歴史を持つ、元祖・太郎菓子なのだそうです。
その後、キャベツ太郎(81年)、玉葱さん太郎(83年)と太郎菓子は年々増殖を続けていくことになります。
こちらはNEW餅太郎
もしかして「さん太郎」っていう名前なの?
となると気になるのは「さん」が付く、付かないの区別。22種類のうち呼び捨ては13種、さん付けは9種と呼び捨てがやや優勢ですが、何か意味があるのでしょうか。
そもそも「さん」は敬称なのか、「さん太郎」という名前の一部なのか…など疑問は尽きません。
【呼び捨てグループ】
餅太郎
NEW餅太郎
キャベツ太郎
もろこし輪太郎
焼肉カルビ太郎
わさびのり太郎
ビーフジャーキー太郎
いか太郎
甘いか太郎
のしいか太郎
どーん太郎
チョコ太郎
カステラドーナツ太郎
【さん付けグループ】
蒲焼さん太郎
焼肉さん太郎
お好み焼さん太郎
酢だこさん太郎
ラーメン屋さん太郎
焼きそば屋さん太郎
のし梅さん太郎
玉葱さん太郎
朝の!!ラスク屋さん太郎
(※味や分量の違いは無視。ふー棒さん太郎は委託製造のため除外)
「さん」の位置が気になるラーメン屋さん太郎
この点について担当者は「『さん』は丁寧な表現にするための敬称と考えています」と回答。
「お客様からもよくご質問いただくのですが、ネーミングや呼びやすさを考えて変えているだけで、『さん』が付いている方が偉いというわけではありません」と説明しました。
敬称だとすると、「さん太郎」ではなく「太郎さん」の方が語順として適切な気がしますが…。
「ごもっともなのですが、呼びやすさを踏まえて勝手に付けさせていただいております」(担当者)とのことです。
語順が不自然なことで、かえって印象に残るので、ネーミングとしては大成功なのかもしれません。
キャベツ太郎にキャベツは入ってません
ちなみに太郎菓子で最も売れているのは、82年から販売されている「蒲焼さん太郎」だそう。さん付けも納得の貫禄。まさにキング・オブ・太郎です。
さま付けでもいいぐらいの蒲焼さん太郎
最後に豆知識をひとつ。
「キャベツ太郎」にキャベツは入っていません。「スナックの形状が芽キャベツに似ているのが由来」という説もありますが、当時の担当者はおらず真相はわからない、ということでした。