住民の75%がEU離脱に投票した町で話を聞いてみた

イギリスの他のどこよりも離脱を支持した人が多かった場所

    住民の75%がEU離脱に投票した町で話を聞いてみた

    イギリスの他のどこよりも離脱を支持した人が多かった場所

    先週イギリスであった、EU離脱と残留を決める国民投票。イギリス東南部リンカンシャーにある港町、ボストンの投票率は高かった。イギリス全体の投票率の平均が72%なのに対し、77%の人たちが投票に出かけた。

    ボストンはイギリスの中で、最もEU離脱賛成に投票した人たちが多い町だった。有権者数39,363人の内、22,974人(75.6%)の人たちが、EU離脱に投票。7,430人の人たちが残留に、そして8,959人の人たちが投票しなかった。ボストンで、EU離脱問題について、またイギリスの将来をどう見ているのか、聞いてみた。

    52歳のケリー・ブランドンは市場の露店商。離脱に投票した。

    「みんながパニックをおこし、悲観的になっているのを知っている。でも私はイギリス人はユニークで、特別であると信じている。今までそうしてきたように、この問題からもはい上がれるはず。きっともっと強くなれる。世界大恐慌でも、第一次世界大戦でも第二次世界大戦でも、そうしてきた。きっと大丈夫」

    「私は、マーケットで露店を出していて、お客さんの90%はボストンにいる外国人。 彼らが自国に戻されるということはないと思う。みんなが、どちらに投票したらいいのかについて、誤って教えられていたように思う。もしみんなが単に、ボストンに人が少なくなって、病院に十分なベットの空きができて、学校にも余裕がでる、という理由に基づいて票を投じたのなら、そういうことは起きないと思う」

    リトアニア出身の学生で、花工場に勤務する18歳のベルナデッタは、投票できなかった。


    「国民投票の結果は、 経済的にネガティブな影響をもたらすかもしれない。でも、イギリスが前よりも干渉されなくなるなら、ここにやって来る、酔っぱらったり、街中で大声をだして治安を乱すような移民たちを、コントロールできるようになるかもしれない」

    「私はここに英語を学びにやってきた。でも、英語を勉強するのは本当に、そう本当に大変。だって、工場では、ロシア語か、私の母国語で話しかけてくるから。 街中で聞こえてくるのは、ロシア語での罵りあいか、リトアニア語での罵りあいで、何というか、残念な気持になる。映画を見たり、本を読んだりしている方が英語の勉強になる。ここにいても英語の勉強は、できない。私も移民のうちの一人だけれど、一部の移民の人たちがしている振る舞いを、全く容認できない。リトアニアではここで見るような振る舞いをする人はいない。『あーっ!』て思うことが、ここではある。もっと文化的なのだろうと思ってここに来けれど、そんなことは全くない」

    離脱に投票した54歳のコリンと、投票し忘れた34歳のT.J.。

    コリン:「ポーランドに住んでいる人たちが、イギリスの福祉の恩恵を受けているのには、納得できないね。私は税金を払っている。その税金は全てポーランドやその他の国に送られるんだ。そんなのは許されるべきじゃない。彼らが自分たちのやっていることをテレビで自慢しているのを見た時にはうんざりしたさ。だから離脱に投票したんだ」

    「徐々に多くの移民が入って来るのを止めてもらって、少し数を減らしてほしい。狼の群れのように街を歩いて、一日中飲んでいるあの気持ち悪い奴ら(飲んだくれている移民)は、まとめて貨物船に入れて、送り返すべきだ」

    T.J.:「ほとんどのヨーロッパの人々はここへ来て、給付を受けようとして、何もしない。投票していたなら、離脱に投票していただろうね」

    「これでアフリカの人たちには、仕事を得る機会が増えると思う。というのも、みんなヨーロッパの人のことをまず第一に考えているからね」

    離脱に投票したケリー・ゴーリング、31歳。

    「ボストンは、すごく変わってしまった。人々はもうフレンドリーには見えません。コミュニティーは変わってしまった。もううんざりしている。彼らは仕事を持っていきました。わたしたちのお店も、国民保険サービスも、歯医者も、医師たちも、公営住宅もです。もううんざり」

    トルコ出身のケバブ店従業員であるSelcukは、離脱に投票した。

    「あまりに多くの人が働かずに、酒を飲んでいるんだ。僕は一生懸命働いているよ。みんなもね。ポーランド人たちは、働かずに福祉についてただ求めるんだ。もし彼らはここに、この国に住むのなら、少しくらい英語が話せないとね。冗談を言っているんじゃないよ。彼らはサラダの名前すら知らないんだ。ソースを意味する英単語もわからないよ。正直イライラするね」

    70歳の退職者、マイクは離脱に投票した。


    「かなり多くの人が不純な動機で投票したんだと思う。みんな移民や、ここへ来る人々の数を恐れている。離脱に投票すれば、極右、ほとんど過激派のように見なされてしまう。奴らは全く馬鹿げている。ここの大部分の人々は、中道左派だ。ロンドンのハックニー区は非常に貧しかった地域だし、ショーディッチやその周りの地区も全てそうだったが、今は変わっている。しかし、そんなことはここら辺りでは起きていない。この辺の、近くの農場では地元の人々が働ける仕事があったが、今となってはここの人たちは雇用されていない。他の人の方が賃金が安いからだよ」

    「スキルがない人たちは、いつもここの地域で仕事を得られたんだ。でも、他からの人の方が、地元の人々よりも仕事に対する準備ができているとなると、そういった仕事はここではもう得られない。ローンを組んでなければいいかもしれないけど、組んでいれば、時給£5や£6で働く余裕なんてないからね」

    農場労働者で、リトアニア出身のエッギス36歳は投票できなかった。

    「私はよく働いているので、雇用主は幸せだと思う。自分が国に帰らなければならなくなるとは考えていない。でも経済については心配している」

    24歳のクロエは投票しなかった。


    「私は投票には行かなかった。政治家はどうせ耳を傾けないでしょうから。あまりにもたくさんの人たちが、この一件で仲たがいをしている。私は自分が中立であることを、うれしく思う。 もし投票していたなら、離脱の方に票を投じていたでしょうね。だって製造業を取り戻さなきゃ」

    44歳のレイチェルと49歳のニックはどちらも離脱に投票した。


    レイチェル:「ボストンの人口は非常に増えました。手術も受けられないし、学校にも入れない、実際、この町には人が多すぎる。ここは小さなマーケットタウン。部屋も見つからない」

    ニック:「移民のわかりやすい事例について話そう。ここには移民はたくさんいるけど、仕事に関して言うと、他の誰にもチャンスを与えないんだ。ここにやって来る移民はいつも仕事を全て取ってしまっているようだ。それは自分でもよくわかっている。というのも、自分は何年か前に農作業をしていたんだ。移民がやって来るとすぐに、彼らはより安い賃金で働くから、クビさ。何年もある会社で働いたけれど、外国人労働者が来るとすぐに、自分はクビ。そこでは10年働いたのにね。彼らは同じ仕事をしているのに、賃金は半分だから、みんな彼らを雇い続けることを選んだんだ」

    「みんな、こういった人たちを、小さな場所に押し込もうとしているんだ。医者はそれに対処できない。病院も無理。手術も、家や学校を探すのも、どれも同じ状態。寝室税とかね。外国人がここにいなければ、あれは考案されなかっただろうね」

    リトアニア出身のビタリア27歳は投票しなかった。


    「将来が恐ろしい。もしかすると、リトアニアに帰れと言われるかもしれない」

    62歳のゲイル・クーパーは残留に投票した。


    「自分くらいの年の多くの男性たちが、もう一度大英帝国になれるって言い続けているのを見た。でも私はそれはナンセンスだと思う」