小池知事の鶴の一声で決まった「私立無償化」 誰がどれだけもらえるか、担当者に聞いた

    小池百合子都知事が明らかにした新たな政策。都内の私立高校の平均授業料である44万2千円が限度で、授業料がそれ以上だった場合は全額無償になるわけではない。

    東京都の小池百合子知事が「年収760万円未満で私立高校を実質無償化にする方針」を明らかにした。

    BuzzFeed Newsは、都私学部企画担当課の担当者に聞いた。

    担当者は「あくまで報道された内容しかわかりません。知事査定で、担当部署まで降りてきていないので……」と困惑しながらも、「参考として、現場制度の内容を」と説明してくれた。

    まず、なぜ世帯年収760万円が限度なのか。これは現行の支援制度でも、同額が上限になっているのだという。

    いまの制度では、生活保護世帯の場合のみ、平均授業料額まで全額給付される。一方、世帯年収760万円までは、段階ごとに給付額が分かれている。都内外の私立に通う生徒のうち、約3割が制度を利用している。

    ちなみに国の支援制度では、世帯年収910万円まで利用できる。朝日新聞によると、小池知事は当初、この基準まで対象を拡大しようとしていた。

    担当者によると、この「760万円」は1994年に決められた区分だ。93年のときの都内の4人世帯(両親・子供2人の世帯)のおおよその平均年収で、以来20年間、区分は変えられていない。

    いまの同様の世帯の平均年収は、統計はないが、当時より下がっているとみられる。都財務局主計部によると、いまも590〜760万の範囲に平均世帯年収があると推測されるという。

    では、年収761万円だと給付は受けられないのか。担当者は「実際の審査は税額で審査することになりますので、確実にそうだとは言えません。ただ、全員に給付を出さない限り、制度の境目はどうしてもできてしまいます」

    子どもの人数によっても不平等が発生するのではないか。段階を設けるなど、制度設計の再検討はしていないのか。

    そう聞くと、担当者はこう答えた。

    「それらの課題は検討しないといけないと思います。ただ、何人の子どもがいて、所得がどのくらいなのかという風に時間をかけて調査をやっていかないといけない。いますぐ、来年度に間に合うようにという分析は難しい状況です」