学校法人「森友学園」が購入した大阪の国有地をめぐり、取引の透明性を疑問視する声が相次いでいる。
これまでの流れを振り返る。
1. なぜ、「9割引き」だったのか
朝日新聞の2月9日の報道のあと、財務省は価格を公表した。
その説明によれば、土地の価格は報道の通り、周囲の標準的な地価と比べると9割引きの「1億3400万円」だ。安くなった理由は、地下埋設物(廃材及び生活ごみ)の撤去・処理費用である「8億1900万円」を差し引いたためだという。
財務省国有財産審理室の課長補佐によると、土地に埋まっていたのは生活ごみ(ビニール片、陶片、ガラス)や木材片だ。
2010年、土地の元々の所有者である大阪航空局が調査し、表層部分にごみがあることはわかっていた。しかし、2016年3月、森友学園による基礎工事中「さらに大量のごみ」が見つかったという。
なぜ、その処理に「8億1900万円」もかかるのか。この額は、適正なのか。額を決めた大阪航空局補償課の課長補佐は、BuzzFeed Newsの取材にこう語る。
「国交省の『工事積算基準』に伴って計算したものになります。ごみの量をこちらで計算し、基準に照らしました」
ごみの量はどれくらいで、どういう基準で、どういう計算をしたのか。
「くわしい中身になりますと、専門家の担当者に聞かないとわかりません。担当者は月曜日(2月20日)まで出張中ですので、戻り次第確認します」
朝日新聞の14日の報道によると、ごみの撤去にかかった費用について森友学園の籠池泰典理事長は「1億円ぐらい」と説明している。また、撤去費用が8億円以上と見積もられていたことは「知らなかった」という。
ただこの点について、学園側が「事実誤認」とし、訂正を求めていることが、2月15日の衆議院財務金融委員会で明らかになっている。
2. なぜ、価格が非公表だったのか
3. なぜ、土地の購入前に基礎工事が始まっていたのか?
つまり、こういうことだ。森友学園は資金的な問題があり、9億円相当の土地を、8年後に購入する予定で借りていた。その土地に着工後、大量のごみが出た。そして、価格からはごみ処分代の8億円が控除された。
2月15日の衆議院財務金融委員会では、この問題について議論が紛糾した。
共産党の宮本岳志衆院議員が上記の経緯について、「便宜を図ったのでは」と問いただすと、財務省の佐川宣寿・理財局長はこう答えた。
「10年以内であればどのタイミングで買い取るのかは経営判断になる。有償貸付の間に新たにゴミを発見、撤去の必要が生じました」
「開校が1年後に迫っているなか、早期に学校を整備し開校するため、森友学園自らが土地を購入した」
宮本議員は、この購入金額についても指摘した。それによると、頭金は2700万円あまり。残りの1億円あまりは「10年間分割払い」であり、支払い契約は「毎年1100万円、延納利息1%」となっているという。
つまり、森友学園は通常であれば10億円はする国有地約8770平方メートルに、現段階で国に数千万円しか支払っていないまま、学校を建てようとしている。その名誉校長は、首相夫人だ。
特例ではないのか。この点についての佐川宣寿理財局長の説明はこうだ。
「延納の話でございますが、国有財産特別措置法で分割が認められているもの。一般的に行われていますが、学校法人に対して同じ措置は過去3年間、(全国で)ほかにはない」
麻生太郎大臣は「国有財産地方審議会で十分な審議をいただいたうえで処分されたので、その方針に従って我々としても法令に従って適正な処分が行われた、としか答弁のしようがない」と語った。
これに対し、宮本議員は「これらの話は諮問されていない」と反論。議論はそこで終わった。
BuzzFeed Newsでは、財務省に改めて経緯やその適法性を問い合わせています。