オスプレイの事故率は平均以下ではなかった 上昇を把握していた防衛省、新しい数字は開示せず

    掲載されている数字は「1.93」。政府がMV-22の安全性の根拠のひとつにしていたものだ。

    沖縄で12月13日未明に起きた、オスプレイの事故。1週間ほど経った19日、早くも飛行が再開した。

    今回、事故が起きて改めて注目を浴びたのが、オスプレイの「クラスA事故率」だ。

    オスプレイの事故率は現在、上昇している。防衛省はBuzzFeed Newsの取材に、「政府の把握している」最新の数字が、2015年9月末時点の「2.64」であると説明した。

    防衛省によると、オスプレイの事故率の推移は以下の通り。

    * 12年4月末:1.93

    * 12年9月末:1.65

    * 13年9月末:2.61

    * 14年9月末:2.12

    * 15年9月末:2.64

    米海軍安全センターによると、米海兵隊全体の平均値は2.63だ(02〜16年12月9日)。

    この事故率の上昇に関しては、毎日新聞が「事故率2.64に上昇 15年9月時点」と、時事通信が「オスプレイ、事故率上昇=操縦難しさ指摘も」などと報じた。朝日新聞も記事内で触れている。

    この最新の数字は、防衛省のホームページ「オスプレイについて」に出ていない。

    なぜ、防衛省は把握していた新しい事故率を開示していなかったのだろうか。

    パワーポイント資料が古いデータであることへの回答は、こうだ。

    「指摘の資料については平成24年9月の普天間飛行場への米海兵隊MV-22の配備に際し、事故率について、様々な数字が報道され、MV-22の事故率がほかの航空機と比較して高いのではないかとの疑念が生じていたため、事故率の考え方と当時の最新の数字の整理を行ったうえで、 当省ホームページに掲載したものである」

    しかしこれでは、現在の最新データを開示していない理由にはならないのではないか。

    改めてそう問うと、30分ほどして、再び連絡があった。この文章を、先ほどの文章につなげたものが回答だという。

    「したがって、当該資料の情報を更新したものをホームページに掲載する予定はない」

    2012年に「1.93」のデータを載せた理由は、新しい数値を載せていないことの説明にはならないだろう。少なくとも把握しているデータがあるのならば、それを掲載しない理由はないはずだ。

    事故で大破したオスプレイと同型機のMV-22に関しては、陸上自衛隊が2018年度までに順次導入することが決まっている。政府は計17機を、アメリカから購入する予定だ。