【ノーベル賞】世界上位の受賞数を誇る日本には、なぜ女性受賞者が1人もいないのか

    女性研究者の割合は、国際的にもめちゃくちゃ低い。

    東京工業大学栄誉教授の大隅良典さんが医学・生理学賞を受賞した。これで、日本人のノーベル賞受賞者は25人(外国籍の取得者も含む)と、世界で7番目になった。

    でも、女性受賞者は一人もいない。世界ではいままで、48人の女性がノーベル賞を受賞しているのに(男性は800人以上だけれども)。

    自然科学分野に限れば、女性受賞者は17人。数は多くはないが、それでも21世紀に入ってからは7人と、ペースは着実に上がっている。

    昨年はアジアで初めての女性が受賞した。

    なんで受賞ラッシュにわく日本は、ゼロなのか。

    ノーベル賞量産国日本で、なぜ女性受賞者がでないのか」という論文を書いている、小川眞里子・三重大名誉教授(科学史・科学論)はBuzzFeed Newsの取材にこう語る。

    「女性の研究者が少なく、裾野が広がっていないことが一番の要因です」

    このグラフを見てほしい。これは、内閣府が女性研究者の割合を国際比較したグラフだ。日本は堂々の最下位。

    博士課程修了者の数で見ても、圧倒的に女性が少ない。

    政府もこの状況を認識している。今年、閣議決定された「科学技術基本計画」には、こんな文言がある。

    多様な視点や優れた発想を取り入れ科学技術イノベーション活動を活性化していくためには、女性の能力を最大限に発揮できる環境を整備し、その活躍を促進していくことが不可欠である。我が国の研究者全体に占める女性の割合は増加傾向にあるものの、主要国と比較するといまだ低い水準にとどまっている

    自然科学系全体で女性の研究者を30%にするという5年前の目標値もあるが、25.4%(2012年)と、まだ達成できていない。

    出産・育児や介護の負担に対するインフラ整備など、女性研究者への支援策が追いついていないことが、要因の一つだ。

    たとえば独立行政法人・国立女性教育会館が2012年に大学教員2736人を対象に実施したアンケートでも、女性研究者比率が低い理由として「家庭と仕事の両立が困難」がいちばんの理由(54.7%)に挙げられている。

    文部科学省では昨年度から、「研究と出産・育児・介護等との両立や女性研究者の研究力の向上を一体的に推進」することを目的にした支援策「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ」を新たに始めた。

    子育てをしている研究者のために保育施設を使いやすくしたり、妊娠・出産による研究の中断から復帰しやすくしたり、「不公平な処遇」を受けないようにしたりーーなどの支援策を実施する研究機関が対象になる。

    「日本の支援は欧米に比べて、圧倒的に遅れている」と、小川さんは言う。

    「欧米では80年代から女性研究者を支援するプログラムが充実していました。もちろん海外でも女性受賞者は少ないですし、研究者の割合も50:50にはなっていない。まだまだなところもありますが、日本は圧倒的に遅れています」

    「女性も含めた多様な人材が集まることによって、より大きな技術的飛躍が可能であるとして、欧米ではダイバーシティを重要視している。ノーベル賞受賞という目的だけではなく、日本の科学技術全体のためにも、女性研究者が研究を続けていけるようになってほしいですね」

    男女に関わらず、研究者が、自らの研究に没頭できるための環境づくり。それはがいま、いちばん求められていることなのだ。