11月22日朝に福島県沖であった地震。気象庁は福島県と宮城県の沿岸に津波警報を出し、一時、緊迫した空気が列島を包んだ。
午前8時すぎには仙台港で1.4mの、岩手県から伊豆諸島まで各地で津波を観測している。
そんなさなか、NHKが避難を呼びかけるテロップに「工夫がある」と、にわかに注目が集まっている。
切迫感を伝えるために
テロップは、津波警報を報じる画面に常に出ていたものだ。
「津波!避難!」「つなみ!にげて!」「すぐ避難を!」「すぐにげて!」などと様々な文言で、視聴者に危険を訴えている。
NHKの津波報道に関しては、2012年12月に宮城県沖に警報が出たときから、避難を呼びかけるアナウンサーの口調が変わっている。「東日本大震災を思い出してください」などと強く語りかけたこともあり、注目を集めた。
これは東日本大震災を受けたもので、11月22日にも同様の呼びかけがなされた。
テロップを変えた理由
では、テロップはいつからこのような表示になったのか。
NHK広報部によると、2013年3月、気象庁が津波警報に使う表現を変えたのに合わせて方針を転換。新しい伝え方に変わったという。実際に使われたのは、今回が初めてだ。
気象庁のこの方針転換では「大津波警報」などの区分を見直し、波の大きさを「巨大」「高い」と表現するようになった。
NHK広報部の担当者はBuzzFeed Newsの取材に対し、「これまで抑制的で、冷静な表現を使っていました。方針転換を受け、局内で改善を検討し、切迫感を出すものにしました」と語る。
命を守るために
直接的に危険を訴える表現を増やし、テレビを見ている子どもでもわかるように、ひらがなを活用したのが特徴だ。赤地に白文字にしたのも、情報が見やすいような工夫という。
「見て聞いて、すぐにわかるということを大切にしています」
テロップの変更点を紹介した公式サイトには、こんなことが書かれている。
東日本大震災を教訓に、津波への危機感を伝え、避難に結びつけるため、伝え方を見直しています。
呼びかけにはふだんの放送にはない、強い口調や強いことばも使います。迷わず避難し、命を守って頂くためです。
警報が出たら命を守るため、すぐに、より高く、より遠くへ。
担当者は言う。「一人でも多くの命を救う放送を実現することが目的です」と。
NHKは11月22日にも、すべての津波注意報が解除されるまで、警戒を訴え続けていた。決して、津波を過小評価しない。命を守るために。それが東日本大震災の教訓だ。