戦後一度もなかった憲法改正。秋の臨時国会から議論を始めると安倍首相が明言した。
まず、大切なこと。憲法は丸ごと変えられない。改正できるのは、条文(項目)ごと。
①どこを改正するのか決める
憲法のどこを変えるのか、何を加えるのか。まずは国会議員で話し合う。議論の舞台は、衆参両院に設置される「憲法審査会」だ。
安倍首相は秋の臨時国会で憲法審査会を開き、議論を始めようとしている。
②改正する部分を国会に提出する
改正部分が決まったら、それを「改正原案」として国会に提出する。衆議院の100人以上、 参議院の50人以上の賛成があればOKだ。
③憲法審査会と本会議で議論する
提出したら、舞台は両院の憲法審査会に戻る。合同でも個別でも開くことができるし、公聴会も実施される。その後、両院の本会議でそれぞれ3分の2以上の賛成があれば「改正原案」は可決する。
選挙の間、ひたすらに叫ばれていた「3分の2」は、ここでようやく意味を持つ。
④国民投票をする
国会で「改正原案」が可決した60日から180日以内に国民投票が開かれる。国民の半分以上が改正に賛成すれば、それで決まりだ。
もちろん、スムーズにはいかない。改憲派の中でも意見はバラバラ。どこを改正するのか決めるのに、時間がかかる。
ちなみに、自民党の改正草案と現行憲法を比べると、9条はこんな感じになる。
最終的に決めるのは国民だ。
改憲派もいる民進党や、野党を巻き込んだ議論を始めたい安倍首相。7月11日の会見では、「わが党の案をベースにしながら3分の2を構築していくかが政治の技術」と発言し、明確な意思を表した。
安倍首相は会見で、こうも言っている。
「憲法改正を決めるのは国会ではない。国会は、改正を発議するのにとどまる。決めるのは国民ということが、重要な点なのだと思います」