「次期米大統領」の顔面を女性社員がパンパン叩き トランプ効果でフル稼働するマスク工場

海外への疑問、輸出への諦め

ドナルド・トランプ氏が米大統領選で勝利したことで、日本のラバーマスクの生産工場がフル稼働している。

Kensuke Seya / BuzzFeed

予想以上の反響に、“トランプマスク”の生産が追いつかない。ネット注文を中止にし、対抗馬だったヒラリー・クリントン氏のマスクを作るのも一旦ストップするほどだ。

BuzzFeed Newsは、トランプ氏の影響力を噛みしめているさいたま市の玩具メーカー「オガワスタジオ」で話を聞いた。

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2人のマスクは、今年5月に同時発売した。トランプ氏の鋭い視線で吠えるような表情に対し、クリントン氏は優しい眼差しで満面の笑顔を見せる。クリントン氏は選挙中、メディアでは優勢が予想されていたが、マスクの注文数では負けっぱなしだった。

選挙結果が出た11月9日の夕方、トランプ氏の勝利がわかると、一挙に500個の注文が入った。翌日には約2500個が入り、投開票日から2週間ほどで約6000個の注文が舞い込んだ。

対するクリントンマスクの注文数は、これまで2000個に届いていない。トランプ氏の圧勝だ。

海外のトランプマスクに対する疑問

Spencer Platt / Getty Images

八木原貴裕専務によると、製作の経緯はこうだ。

トランプ氏のマスクをネットで検索すると、そのほとんどが質の悪いものだった。

「反トランプ派が、バッシングに使うためのマスクに感じました。本物とは程遠く、バカにしたようなマスクを人形に被せ、それを叩く動画もあり、悲しくなりました。うちのマスクは、そんな使い方はしてほしくなかった」

当初は、アメリカに向けて輸出するつもりだった。

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マスクにふさわしいと考えたのは、やはり力強く訴えるトランプ氏の表情だった。多くの人にインパクトを与えた演説中の一瞬を切り取った写真を参考に、マスクを製作した。

八木原専務が、熱を込める。

「トランプさんの魂を入れたかったんです。口を大きく開け、怒って吠えるのがまさしく彼でした」

「メイドインジャパンとは、どれほどの質かを知らせたかった」といい、アメリカに輸出する方向で動いていた。しかし、採算が合わずに断念。5月の途中に、国内向けに切り替えた。

「政治家のマスクは、キャラクターのようにコスプレをしたいものではなく、本当のお遊びになる。お遊びの商品は、どうしても安くなってしまうのです」

トランプマスクの色にもこだわりがある。

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「年寄りの感じを出し、特徴的な薄い髪も表現しました」

ピストルガンを微調整しながら髪を金色に。薄いグレーでサイドの白髪も丁寧に塗られている。

最後に、女性の従業員たちが目や眉毛、歯、唇などを器用に一つ一つ手作業で塗り、完成する。

「しんどいってのが本音じゃないかな」

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注文が殺到した日には、1日に生産できるトランプマスクは50個だった。1日300個を生産しなければ、追いつかない状態になり、生産量を上げるため、クリントン氏やバットマン、大仏などの生産を一旦ストップした。

HPで、海外からも注文できたが中止にし、電話注文も断っている。

「想像を絶するような反響があります」と笑みをこぼす八木原専務は、こうも話す。

「従業員からしたら、うれしい悲鳴というよりは、しんどいというのが本音じゃないかな。体が一番だから、と呼びかけています」

従業員24人体制で、今はいつも以上に働いている。

「アルバイトを今雇ったとしても、任せられるまでに1年はかかりますので」

「マスクは、楽しんで明るく使ってもらうのが一番です」

Kensuke Seya / BuzzFeed

トランプ氏の影響で、オバマ大統領のマスク売り上げもアップ。リオ五輪の閉会式で話題を呼んだ「安倍マリオ」効果で、安倍晋三首相のマスクも売れている。

トランプマスクは、どんな使い方をしてもらいたいのか。

「言いたいことは何でも言うのが、トランプさんらしさです。マスクをかぶって、上司や先輩に文句を言ったり、怒られた時に『ふざけるな』と言い返したりして、ぜひ楽しんでもらいたいです」

トランプマスクは税別2400円。マスクが大活躍する忘年会シーズンは、まもなくだ。

Kensuke Seya / BuzzFeed