【神宮外苑火災1ヶ月】建築家が若者にメッセージ「危ない、無理だからと制作を止めないで」

    普段の危機管理意識は…

    東京都新宿区のイベント会場で、木製のジャングルジムのような展示物が燃えて、5歳の幼稚園児の男の子が死亡した事故から1ヶ月が経った。展示物の中で照明として使われた白熱投光器により、木くずが出火したとみられている。

    遊具をデザインする専門家は、普段どう意識しているのか。BuzzFeed Newsは、建築家の遠藤幹子さんに話を聞いた。

    安全に関する国のガイドラインがある。

    事故をする恐れのない遊具であるべきか。

    「『リスク』と『ハザード』という考え方があるんです。なんでもかんでも安全で、全ての危険要素を排除するのは、子どもにとって良くありません」

    国交省のガイドラインには、こうある。

    子どもは、遊びを通して冒険や挑戦をし、心身の能力を高めていくものであり、それは遊びの価値のひとつであるが、冒険や挑戦には危険性も内在している。子どもの遊びにおける安全確保に当たっては、子どもの遊びに内在する危険性が遊びの価値のひとつでもあることから、事故の回避能力を育む危険性あるいは子どもが判断可能な危険性であるリスクと、事故につながる危険性あるいは子どもが判断不可能な危険性であるハザードとに区分するものとする。

    遊具が絶対に事故の起きないものであれば、子供たちは何が危険で、どうすれば怪我をするのかの判断が養われない、というのだ。そのため、子どもの成長に必要なリスクは残し、命の危険や体に障害をもたらす事故につながる恐れのあるハザードは取り除くよう努めている。

    「どうすれば危ないぞ、死ぬぞというのを知るための学習のために、ヒヤッとするリスクは必要なのです。危機感を養わないと、いつか重大な事故を起こしかません」

    「一方で、ハザードは、なにがなんでも大人が阻止し、排除しなければいけないんです。捻挫や擦り傷は必要な怪我として受け入れ、致命傷につながる事故を防ぐよう徹底しなくてはいけません」

    リスクとハザードを見分けるには。

    「危ないから、無理だから、と制作を止めるべきではない」