選挙の投開票作業の手当は高い? 実は自治体でバラバラ、時給換算で6000円の例も

    都内の全自治体にアンケート調査した

    選挙の投開票所で見かける事務職員。日当をいくらもらっているか知っていますか?

    事務作業をしているのは、自治体職員や学生アルバイト。投票所では、有権者がスムーズに投票できるようにサポートし、開票所では、早く正確に票を数え、結果を確定させる。深夜まで作業が続くこともある。

    一体、いくらもらうのが適正なのか。

    都内の全自治体にアンケート。

    BuzzFeed Newsは、東京都内の全自治体にアンケートをとった。7月の都知事選の作業報酬はいくらだったのか。14区14市1町1村から回答を得た。

    実は自治体によってバラバラ。

    作業は、日中の「投票事務」と夜間に及ぶ「開票事務」に大別される。拘束時間が長いのは、投票事務。主な自治体で、投開票日の当日に働いて得たそれぞれの報酬の最高、最低額は以下の通りだった。

    • 新宿区=投票【3万4500〜4万円】、開票【1万1500〜2万7500円】
    • 渋谷区=投票【3万6000〜3万9000円】、開票【1万2000〜2万円】
    • 目黒区=投票【3060〜3万8944円】、開票【6756〜2万9606円】
    • あきる野市=投票【1万9600〜4万4200円】、開票【2100〜6120円】
    • 北区=投票【一律3万5000円】、開票【一律1万2000円】

    自治体ごとにもそうだが、自治体内にも金額に幅がある。職員の役職の違いだけでなく、学生アルバイトなど立場の違いで、仕事内容や拘束時間、時間外手当に差があるからだ。

    実働2時間で日当1万2000円=「時給6000円」の例も。

    BuzzFeed Newsは北区選挙管理委員会に取材した。北区は、多くの自治体とは異なって一律の報酬を支払い、比較的金額が高い。

    金額が一律なのは、区職員のみで作業し、大学生などのアルバイトがいないのが大きな理由。投票事務は、午前6時半〜午後8時半に420人が作業し、一律で一人当たり3万5000円を支給。午後8時45分〜午後10時45分までの開票作業には250人が入り、一律で1万2000円支給。これが時給換算で6000円だ。

    選管担当者は、手当の金額に関してこう説明する。

    「昔から、金額はずっと変わっていません。従事者を募集する以上、投開票日の翌日以降の職務への影響もあるので、納得できる手当が必要です」

    経験者「手当が良いし、楽だと聞いて。でも」

    実際に事務作業の現場を経験した人は、どう考えているのだろうか。

    BuzzFeed Newsは、7月10日の参院選で、初めて選挙事務をしたという浜松市の20代女性職員に話を聞いた。

    「手当が良いし楽だと聞いて、軽い気持ちで行ったら大変でした」

    午後9時半に開票作業が始まり、解放されたのは午前1時ごろ。約9000円の手当を受け取り、時給換算で2600円ほどだった。

    票の確認作業は、想像よりも大変。誤字やくずし字など、読むのが難しいものも一枚一枚確認し、気が抜けない作業だった。しかも、翌朝は普通に出勤しなければならない。

    作業をする前は、時給の高さに「税金の無駄かも」と考えたが、今は「通常業務が翌日にあることを考えると、手当が高くないとやる気が出ない」。

    正確性と速さが求められる選挙事務。いくらの手当が適正なのか。タウンワークで、浜松市内の深夜バイトの時給を調べたところ、900〜1250円が多く、東京都内では1200〜1500円が多かった。