イギリスの夕刊紙「イブニング・スタンダード」が、「9時間のフライトでグルテンフリーの食事を注文したロンドン人に、ナイフとフォーク付きでバナナ1本が提供される」との見出しで、衝撃のニュースを伝えた。
全日空(ANA)の飛行機に搭乗したイギリス人の男性(32歳)は、機内食として小麦やライ麦に含まれるタンパク質の一種「グルテン」の入っていない食事を事前に注文。
しかし、約9時間のフライト中、朝食で提供されたのは、”バナナ1本だけ”だったというのだ。この記事をきっかけに、ネット上では「9時間のフライトで唯一の食事がバナナ1本」とする情報が拡散した。
BuzzFeed NewsはANAに問い合わせた。広報部の担当者は、こうきっぱりと答える。
「バナナしか提供しなかったというのは間違っています」
イブニング・スタンダードによると、男性はグルテンを摂取すると異常反応を起こす「セリアック病」を患う。そのため、全日空に事前に「グルテンフリー」の機内食を依頼し、4月20日羽田発シドニー行きの便に乗った。9時間にわたる長い搭乗時間の中で、朝食が「バナナ1本」だったという。
男性は、同紙へのインタビューでこう語っている。
「私は言葉を失いました。バナナにはグルテンは含まれていません。ですが、9時間のフライトなのに、バナナでは私のお腹はいっぱいにはなりませんでした」
「バナナなら15分もすれば、空腹になりますよ」
9時間のフライトで出された夕食と軽食
一方で、全日空の説明はこうだ。
このフライトでは、乗客に夕食と到着前の朝に軽食を提供している。
当時、夕食として、男性には事前に注文のあったグルテンフリーの特別食を出した。
ところが「量が少ない」と男性から意見があり、余っていた通常食も特別に追加で提供したという。
到着前になると、軽食のサービスを開始。ここで男性にバナナ1本を出した。他の乗客が食べたサンドイッチにはグルテンが含まれていたためだった。
この時、男性からまた要望があり、夕食に出たチキンも特別に提供したという。
イブニング・スタンダードは後日、ANAの担当者の「ANAがこの長さのフライトでバナナしか提供しないと示唆するのは間違っています」というコメントを載せた記事を配信した。男性の体験談の真偽には触れていない。
今回の件を受け、全日空はグルテンフリーの軽食の量について、見直しの検討を始めた。
担当者は、当時の対応は間違っていなかったとしている。
「量が少ないことに関しては、弊社は真摯に受け止めます。しかし、今回は、間違った対応をしたわけではありません。通常通り、グルテンフリーの食事を提供した次第です」
イブニング・スタンダードの記事を引用したアメリカのニュース専門局「FOXニュース」なども、男性が食べたのは「バナナ1本だけ」だと報じている。
訂正
「約9時間のフライトで提供されたのは、”バナナ1本だけ”だった」としていたのは「約9時間のフライト中、朝食で提供されたのは、”バナナ1本だけ”だった」の誤りでした。「イブニング・スタンダード」の記事の見出しは「9時間のフライトでグルテンフリーの食事を注文したロンドン人に、ナイフとフォーク付きでバナナ1本が提供される」でしたが、本文中に「離陸後の夕方、大きな食事を提供されたが、彼はもっと中身のある朝食を期待していたと語った」とあります。訂正し、加筆しました。
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