18歳と19歳「投票率」に10%の差 その理由は?

    考えられる2つの要因

    18歳選挙権の導入後、初めての国政選挙となった参院選。総務省は7月11日、18歳と19歳の投票率の調査結果を発表した。

    18歳は51.17%、19歳は39.66%。18歳と19歳で10%以上の差がある。この要因は何か。

    若者の政治参画を促進するNPO法人YouthCreateの代表を務める原田謙介氏は、「考えられる要因は2つある」として、BuzzFeed Newsにこう説明した。

    1.一人暮らしの学生が投票していない?

    高校卒業後、親元を離れて生活をしている学生は、住民票を現住所に移していないケースが多い。

    「19歳のうち、一人暮らしをしている人の多くが住民票を移しておらず、不在者投票しかできなかったことが、18歳に比べて投票率が下がった一因と考えられます」

    住民票を移していない場合でも、不在者投票制度を使って、選挙管理委員会から必要書類を取り寄せれば投票ができる。

    しかし、投票所に行くのに比べて手間がかかるほか、自治体の中には、住民票を残したまま引っ越した学生の不在者投票を認めないところもある。そのため、結果として選挙に行かない可能性が高い。

    原田氏はこの点を問題視し、住民票を移していない学生が大半であることを直視し、自治体ごとの対応の違いを見直すべきだと主張している。

    2. 「主権者教育」を受けているかどうか

    現在、全国の高校で、政治参加の意味や選挙制度などを説明する「主権者教育」が実施されている。

    「18歳の人は、全員が主権者教育を受けています。一方、19歳の人の中には、高校を卒業して1年目と2年目の人がおり、2年目の人は主権者教育を受けていません。その違いが、今回の投票率の差に表れたと考えられます」

    高校卒業から2年が経つ19歳が主権者教育を受けていないのは、改正公職選挙法が公布された2015年6月以降に始まったものだからだ。

    主権者教育で生まれた授業外でのコミュニケーションも、投票率の向上につながった可能性があるという。

    「高校の先生と話すと、選挙の話題を、主権者教育や社会科の授業に限らず、ホームルームなどでも取り上げているそうです。普段の生活の中で選挙の話題に触れることで、投票に行くきっかけが作りやすくなるのではないでしょうか」

    原田氏はこうした要因から、高校3年生の18歳の投票率はかなり高かったと見ており、それが18歳全体の投票率を大きく押し上げた要因になったと分析している。

    19歳の投票率は今後上がるか

    原田氏は、今後、主権者教育を受けた世代が19歳になることで、18歳との投票率の差は縮まると見ている。しかし一方で、一人暮らしの学生の投票環境が改善されない限り、その差がなくなることはなさそうだ。

    「高校生を含む18歳と、投票環境が変わった19歳を比べると、19歳の方が投票率が低くなる傾向は続きそうです。住民票を移さなくても投票しやすくするなど、法制度を何らかの形で変えることも検討すべきかもしれません」