【都知事選】保守分裂、でも野党側も? 宇都宮さんが鳥越候補を応援していない

    「ああいう週刊誌の報道もありましたから」

    都知事選は、小池百合子、増田寛也、鳥越俊太郎の3候補を中心とした戦いになっている。告示前夜、鳥越候補に道を譲って立候補をやめた宇都宮健児さんは、この展開をどう見るか。鳥越候補の応援に立っていないのは、なぜか。

    「政策論争が深まっていない」

    7月23日夜、宇都宮さんは誰の選挙応援にも立たず、「18歳からわかる!東京都知事選挙」と題する会合の講師として、都知事選の解説をしていた。

    「政策論争が深まっていない」「名前の知られた候補者が有利になる」「選挙のやり方を考えなおす必要がある」

    宇都宮さんは、選挙戦をこう批判。アメリカ大統領選を引き合いに、候補者討論の機会を増やし、議論を深めるべきだと述べた。

    その上で、自らびっしりと赤線を引いた「選挙公報」を示して、各候補の政策を論評した。

    主要3候補は「開発優先か福祉重視かで、大きな色分けができる」と対立軸を示した上で、「政策実現には財源の裏付けが必要ですが、そこまで候補者が語れていない」と批評した。

    鳥越候補支援「要請あるが、結論は出ていない」

    集会後、宇都宮さんに記者たちが問いかけた。鳥越候補の応援はしないのか?

    ーー宇都宮さんの政策は、鳥越さんの公約にどれぐらい生かされているか?

    「福祉の問題は生かされている。最近は築地の問題も見直す、外環道も反対だと言われているようですから。だいぶ取り入れられているのではないか」

    ーー応援演説はしないのか?

    「それは選対で決めることにしていますから」

    「僕が撤退を決めるときは、みんなで話し合って決めてますからね。鳥越さんが政策を呑むから決めたわけじゃない」

    ーー応援要請は?

    「直接僕にはないんですが、選対メンバーにそれぞれ近い人がいますから、そういう要請が来ていることは聞きました」

    ーー鳥越さんを通じて政策を実現するには、支援するのも手かと思いますが?

    「そういう意見を言う人も選対の中にはいると思いますけれども、今の段階でどうするか。前回の選対では結論が出なかったですね。とりわけ、ああいう週刊誌の報道もありましたから、そういうのを踏まえてどう対応を取るか……」

    ーー週刊誌報道についてはどう思いますか?

    「ノーコメントで」

    ーー選挙での鳥越さんの戦いを、どう見ている?

    「いや、その辺はもう、ちょっと、あまり何とも言えませんけどね」

    「本当はもっとテレビで討論をやって、司会者が聞くだけじゃなくて、相互討論をたくさんやられた方が違いがわかるし、人間性も出てくるし、そういう場面を有権者にたくさん見せるようなことができた方がいいですよね。告示前は何回かあったけど、告示後はそんなに行われていないでしょう」

    ーー選挙戦を見ていて、思われることは?

    「それなりに自分なりで考えたことで、いろんな候補が保育所に行ったり、介護施設に行ったり、三多摩に行ったり、島嶼地域に行ったり、そういうところをアピールされようとしていることはわかります」

    「ただ全体的な政策の違いが、みんな同じことを言っているように映る面があるんじゃないかな、と思いますよね。その辺の違いが有権者にわかるよう、もっと討論会をたくさんやられたほうがいい」

    宇都宮さんの100万票はどこへ?

    宇都宮さんは過去の都知事選で、共産党の支援を受けて一定の支持を得てきた。2012年の都知事選では97万票、2014年の都知事選では98万票を獲得している。

    今回は、いったん出馬表明したものの、告示日前夜に出馬を断念した。その記者会見では、こう述べていた。

    「保守が分裂している選挙で、都政を変えるチャンスでもある。そういう状況を生かすためには、私が出馬を取り下げるということが、一つの影響を与えるんじゃないか」

    読売新聞の情勢調査によると、野党が統一して推す鳥越候補は、自民党から独自に立候補した小池候補、自公推薦の増田候補を追う展開だ。

    保守分裂のチャンスを生かすために身を引いた宇都宮さん。しかし、野党統一候補の鳥越候補と一枚岩というわけではない。

    宇都宮100万票と都知事選の行方は。31日の投開票日まで、あと1週間。