学校にLGBTの児童生徒がいたらどうする? 文科省が初の「教職員むけパンフレット」を公開

    性同一性障害のほか、「同性愛」や「両性愛」についての説明も

    LGBTなど「性的マイノリティ」の児童生徒について、教育現場はどう対応すべきか。文部科学省は4月1日、教職員向けパンフレットを公表した。基礎的な知識から法制度、学校での支援例まで網羅している。その具体的な中身とは。

    パンフレットは文科省のサイトにアップされている。馳浩文科大臣はBuzzFeed Newsに「文科省がこうしたパンフレットを作ったのは初めて。教育問題として、学校教育に携わる教職員向けに作った」と述べた。

    文科省が2014年に実施した調査や、2015年4月に出したLGBTの児童生徒への配慮を求めた通知がベースになっている。

    今回はそこに、学校や教育委員会から寄せられた通知についての質問に答えているほか、昨年の通知には存在しなかった「同性愛」や「両性愛」についての説明も加わった。

    トイレはどうする?

    具体的には、どんな説明があるのか。

    性同一性障害をはじめとする性的マイノリティの児童に対する「きめ細やかな対応」の例として、パンフレットは次のような方法を挙げている。

    • 自認する性別の制服・衣服や、体操着の着用を認める
    • 標準より長い髪型を一定の範囲で認める(戸籍上男性)
    • 職員トイレ・多目的トイレの利用を認める
    • 修学旅行で一人部屋の使用を認める。入浴時間をずらす

    こうした対策について学校現場からは、性同一性障害の生徒とそれ以外の生徒とのバランスはどうするのかという質問が出ていた。回答は次のようなものだ。

    「性同一性障害に係る児童生徒への対応は重要ですが、他の児童生徒への配慮も必要です。例えば、トイレの使用について、職員用トイレの使用を認めるなど、他の児童生徒や保護者にも配慮した対応を行っている例があります。

    性同一性障害の児童生徒への配慮と、他の児童生徒や保護者への配慮の均衡を取りながら支援を進めることが重要です」

    学校がアンケートすべきか?

    学校が積極的にアンケート調査をして、性同一性障害の生徒を把握すべきか、という質問に対しては、申し出がないのに具体的な調査をする必要はないと回答。

    その理由については、当事者は自分の性自認などを、他の児童生徒だけでなく、教職員にも秘密にしておきたい場合があることや、自ら明らかにする準備が整っていない児童生徒に一方的な調査や確認が行われると、本人が尊厳を侵害されているという印象をもつおそれがあることなどを挙げている。