日本で「児童ポルノ」が堂々と売られる理由 話題を呼ぶNGO調査報告書の中身とは

    1分でわかるポイント

    NGOヒューマンライツ・ナウ(HRN)は9月5日、「児童ポルノ」についての調査報告書を発表した。報告書の内容と記者会見の内容をまとめた。

    児童ポルノと疑われるものが堂々と売られている。

    児童が出演していると宣伝しているポルノや、出演者の顔・体つきなどから18歳未満の可能性があるものなど「児童ポルノと疑われる」DVDやコンテンツが、都内の店舗やインターネットサイトで公然と販売されているのを確認した。審査団体のチェックを受けた形跡のないものも売られていた。

    調査方法・規模は?

    都内店舗の調査回数をやったのは5回で、調査の中心となったのは3店舗だった。そのほかにネット上のコンテンツも調べた。その結果、16点についてパッケージなどから「児童ポルノと疑われる」と判断した。そのうち、入手して中身をチェックしたのは4点だという。


    HRNが警察や審査団体、ショップ団体に聞き取った結果をまとめる。

    警察は・・・

    • ネットパトロールを中心に対策を強化している。
    • 悪質性を見極めつつ積極的に取り締まっている。
    • 年齢が不明な場合、医師が鑑定する。
    • 出演者の年齢確認ができないと、児童ポルノと立証できない。
    • パッケージで「16歳」となっていても、実際は18歳以上が演じているケースも少なくない。

    審査団体は・・・

    • 児童ポルノが許されないことは、メーカーも重々認識している。
    • メーカーを信頼し、年齢審査していない。
    • 年齢確認はメーカー側の責任。メーカーが誓約書を出す。

    ショップ団体は・・・

    • 年齢確認の統一方針はない。
    • これからは無審査のコンテンツを売らないように通知・指導する。
    • もし団体加盟店がまとまったとしても、所属しない店は、無審査コンテンツを売るだろう。

    構造

    こうした聞き取りから、報告書は、児童ポルノの取り締まりが徹底しない構造として、モデルの年齢チェックや、着エロ・イメージビデオのチェック体制に不備があると指摘している。

    提言の主なポイントは?

    1. 国は調査・啓発をして。
    2. 警察はもっと捜査に力を入れて。
    3. 制作〜審査〜販売・配信まで、すべての段階で年齢確認資料の保管を義務付けて。

    どうやって年齢確認?

    HRNの報告書は、流通段階(ネットを含む販売店、レンタル店)での年齢チェックについて、「出演者の氏名・年齢を確認できる公的文書のコピーを事前に確認し、保管すること」を提言している。

    記者からは「店舗などに出演者の公的文書のコピーを持たせると、個人情報の拡散につながってしまう。現実的ではない」といった指摘が出た。

    これに対し、HRN副理事長の後藤弘子・千葉大教授は「提言した確認手段は一つのアイデア。より良い年齢確認の方法があればアイデアをいただきたい」と話していた。