「共謀罪」法案、法律家から反対続出

    弁護士や学者らが、衆参の議員会館で相次ぎ集会

    犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」法案について、法律家からの反対が相次いでいる。日本弁護士連合会は3月16日、参議院議員会館で、法案の上程に反対する集会を開いた。

    基調報告した海渡雄一弁護士は、「ふつうの市民団体や労働組合が処罰対象となる可能性がある」「監視社会をまねくおそれがある」「メーリングリストやLINEで共謀が成立する可能性を、政府は否定しなかった」などと指摘した。

    海渡弁護士によると、現行法のもとでも、爆発物使用については共謀罪が既にある。さらに、殺人や強盗、誘拐、ハイジャック、現住建造物放火や、化学兵器等の使用、放射線の拡散、銃や核物質の輸入、薬物犯罪など、テロに繋がるような重要犯罪については、予備の段階で処罰対象になっているという。

    一方で、改正案に含まれる277の対象犯罪には「テロと関係ないものも含まれる」「仮にテロや組織犯罪の対策が必要なら、個別に立法すべきだ」と訴えた。日弁連は2月17日に、共謀罪の創設に反対の意見書を出している。

    法律家6団体でつくる「共謀罪法案に反対する法律家団体連絡会」もこの日、院内集会を開き、共同声明を国会議員たちに届けた。

    加藤健次弁護士は「処罰対象は、組織的犯罪集団に限定されるというが、厳密な定義がない。犯罪目的で集まったと捜査機関に見なされれば、一般市民の団体も対象になりうる」と法案を批判した。

    3月15日には、学者を中心とした「立憲デモクラシーの会」が衆議院第一議員会館で記者会見した。

    立憲デモクラシーの会が出した反対声明は「立法の合理性・必要性に深い疑念の残る法案を十分な説明もないまま、数の力で無理やり押し通せば、日本の議会制民主主義に対する国民の信頼をますます損なうこととなろう」と、与党側の動きを牽制している。