その人気を大きく支えているのが、安室透を「100億の男」にするために、映画館へ足繁く通う人たちの存在だ。

▲100執行分のチケットの半券
彼には、一度映画を観るとたちまち「安室の女になった」と言ってしまうほどの強烈な魅力がある。
コナンにそんなに興味のなかった先輩が執行されに行って帰ってきたら安室の女になってて、Twitterで見た現象が身近で起こってて俄然執行されに行きたくなった…
そんな安室に魅了された人たちが、安室透を興行収入100億円の男にしようと、なんども映画館へ足を運んでいるのだ。
同じ映画を数回観るという話はよく聞く。だが、それが100回を超えるとなると、未知なる領域だ。
安室透とは何者なのか。一体、彼のなにが彼女たちをそこまで魅了しているのだろうか。
BuzzFeed Japanは、今作を100執行(鑑賞)以上している女性に取材した。
100執行は逢いに行った結果に過ぎない

▲安室透人気で多数の関連グッズが発売されている
1人目は、取材時点で105執行、福岡県在住のOL・怜(仮名 20歳)さん。
彼女は上映初日に鑑賞して以来、約3カ月間で100執行にたどり着いた。
仕事の日は、仕事前後にレイトショーとナイトショーの4回。休みの日は5回鑑賞し、安室透を支え続けた。
もちろん、105回すべて、最初から最後まで鑑賞している。

そんな彼女は、何度も鑑賞するようになったきっかけについて、こう語る。
「今作では、安室透ではなく、降谷零としての彼を見ることができます。初めての鑑賞後、降谷零に心から惹かれてしまいました」
「今まで見たことのない彼の顔を何度も見たくなり、気づけば時間を見つけては彼に何度も執行されていました」
「売上がすべてではありませんが、彼を100億の男にしてあげたいという気持ちもあります」
安室透は、「トリプルフェイス」と呼ばれる3つの顔を使い分ける謎の人物として登場する。

▲安室透・バーボン・降谷零の顔を使い分けながら暮らしている
1つは、毛利小五郎の弟子であり、喫茶店でアルバイトする私立探偵・安室透。
2つ目は、黒の組織で危険な任務をこなすメンバー・バーボン。3つ目が、公安警察に所属する警察官・降谷零だ。
ふだんは安室透としてコナンたちの前に現れるが、時にバーボンや降谷零としての裏の顔も見せる。
今作では、これまでほとんど描かれることのなかった降谷零を見ることができるのだ。
「100執行という数字は、ただ彼に逢いに行った結果にすぎないです。回数にこだわりがあったわけではないので」
「大好きな推しに逢いに行きたい。それが理由です」
安室透=降谷零の魅力とは?

公安警察として、極秘の捜査を行う降谷零。劇中では、敵なのか味方なのかわからない、謎めいた雰囲気を漂わせる。
怜さんは、降谷零のどんな部分に魅了されたのだろうか。
「彼は、ただのイケメンではありません。命に変えてでも、守らなければならないものがある。そんなふつうではありえない使命感に加え、孤独や辛い過去をも背負っているんです」
「安室透、バーボン、そして降谷零。さまざまな顔を持つトリプルフェイスこそが、彼に惹かれる理由の1つ。ですが、今後、どんな彼を見ることになっても、ずっとずっと応援していきたいです」
「そのくらい、彼に心奪われています」
安室透と出会ったことで、外出するようになった

▲人気を受け、サンデー関連の雑誌で安室透特集がなんども行われた
2人目は、Twitterを通して怜さんと知り合ったAさん。
普段はほとんど外出しない出不精だが、安室透と出会ったことで、急激に外出が増えたと語る。
「年に一度、映画館へ行くかどうかもわからない私を、まだまだ観に行きたいと思わせる『ゼロの執行人』は本当にすごいと思います」
「外出が急に増えたことで、家族に心配されるくらいでした。初めは注意されることが多かったですが、次第に応援側に回ってくれたのでありがたかったです」

Aさんは、怜さんさんとリプライで安室透に逢いに行ったことを報告し合い、取材時点でちょうど100執行目を終えた。
Aさんも100という数字は意識していなかったと語る。
「少しでも多く、映画を観たいという考えが強かったので、回数はその思いに付属するものでした。回数よりも、100億になる前に上映が終わってしまうのではないかという焦りが強いです」
安室透の魅力についても続ける。
「安室透は絵に描いたような優しい好青年で、それだけでも十分、魅力があります。そこから見え隠れする薄暗いバーボンの影、そして、すべての根幹にある、正義感溢れる降谷零。さまざまな彼の顔に惹きつけられ、新しい一面が見れるたびに、それがさらなる魅力となっていきます」
今作の楽しみ方とは?

2人とも、なんども執行を重ねた道のりにまったく苦はなく、もちろん、後悔もない。
中には、映画館が貸切状態だったことや執行するうちに5キロも痩せたりと、良いことの方が多かったとも語る。
そんな「劇場版名探偵コナン ゼロの執行人」は、7月いっぱいで多くの映画館での上映が終わってしまう。
残すところ、あと数日。
最後に、怜さんとAさんに、まだ未執行の方、すでに執行済みの方への今作の楽しみ方を聞いた。

「執行回数は関係ないと思っています。回数が多くても少なくても愛の力は偉大! いまの安室透現象がそれを物語っています。
今回の映画は、彼の魅力溢れるシーンが満載なので、彼のひとつひとつの表情やセリフにも注目して欲しいです。
降谷零としての彼にきっと心奪われてしまいます。もっと彼を知りたくなります」(怜さん)
「いろんな角度から観てみることをオススメします。描写、音、光、声優さんの演じ方など、観る角度はいくらでもあるので、そこだけ観てみるというのもおもしろいです。
映画館の座席も、前や後ろ、端など場所を変えてみるだけでも印象は変わります」(Aさん)
彼女たちは、上映している映画館がある限り、今日もまた、安室透に執行されにいく。
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なにが「遊び」なのかは、人それぞれ。ゲームをしたり、写真を撮ったり、どこかへ出かけたり。つまらないと感じることでも、ある人の視点を通すと、楽しくなって、それが「遊び」に変化することもある。「遊び」には、限界がないのです。BuzzFeed Japanは、人それぞれの「遊び」を紹介し、平成最後の夏を思いきり楽しむ!