KREVAが語る人生論。「苦労する必要はないね」

    今年で42歳、いつまでも最前線をひた走るKREVAに聞いた。

    KREVAの新曲が、いつにも増して注目を集めている。

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    タイトルは「存在感」。楽曲は、こんなサビからはじまる。

    存在感はある
    存在感はある
    存在感はある
    存在感は…
    存在感はある でも
    でも、決定打が出ていない気がした

    これは、KREVA自身のことをラップしているわけではない。

    「世の中に思いっきり説教してやろう」という気持ちから書かれたリリックだ。

    SNSでは、この真っ直ぐなメッセージに心打たれる声が続出した。

    「この曲は刺さりすぎてつらい」

    KREVA『存在感』Music Video+Trailer https://t.co/0LKJwtHLqw @YouTubeさんから この曲は刺さりすぎてつらい、存在感自体がそもそもあるかわからないけど。。。

    「BBOYPARK」MCバトル3連覇、ヒップホップソロアーティストとして初のオリコン1位獲得。

    KREVAは、KICK THE CAN CREWはじめ、ソロ以前の活動も含めると、20年以上にわたり王者の貫禄を示してきた人だ。

    そんな彼のように、存在感がある人になるにはどうしたらいいのだろう?

    代表作と言える結果を出すには?

    Keiya Nakahara / BuzzFeed

    ーー「存在感」を聴いた人の中に、まるで自分のことを言われているように感じたという声があります。決定打や代表作と言える結果を出せていない、反省しなくちゃいけない、と。

    なにかを一生懸命作ろうとしている人には、そういうふうに響く。クリエイターや頑張っている人ほど、自分の歌として聴いてくれるんだと思います。

    提供写真

    けれど、頑張っている人たちは本来、反省すべき人ではなくて。

    なにかに一生懸命打ち込んでいるが故に、もっと上にいけるんじゃないかという気持ちが生まれる。

    それが自分に「決定打が出ていない気がした」とか、「代表作が無いような気がした」と感じることにつながるんじゃないかと思います。

    Keiya Nakahara / BuzzFeed

    ーーそれでも、代表作と言える結果を出したい、存在感を出したい。でも、出せない……と悩んでしまう人もいます。

    自分がやりたいことによるな。最近、世の中全体に言えると思うことがあって。変質的に好きなものがある人は、すごく強いと思ってる。

    なんでもいいんです。世の中から理解されないことでも、自分の好きなものがあったら、それを徹底的に突き詰める。

    提供写真 / ▲KREVAの場合、ラップとトラックメイキングを突き詰めてきた

    たとえばパソコンのキーボードが好きだったら、なぜキーボードが好きなのかを徹底的に考えてみる。なぜMacのキーボードは好きで、なぜソニーはあんまり好きじゃないのか。

    キーボードの幅にこだわりがあるからとか、会社によってちがうはずじゃないですか。

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    本当に好きだったら、1つのことを徹底的に調べあげる。

    そうやって好きの理由をちゃんと探って、自分が好きである理由をしっかり持っている人は、その分野に対して必然的に存在感が出てくるんじゃないかと。

    変質的なレベルで好きを突き詰めるのは、存在感を出す上で重要なキーワードという気はします。

    すぐに結果が出るなんてことはない

    提供写真

    ーーKREVAさんのように好きなことを仕事にして突き詰めていく中で、結果が出なくてあきらめてしまう人もいますよね。

    なんでも短期間で結果を求めてる人が多い気がするね。「すぐ痩せます」「すぐ効果が出ます」とか。

    すぐに結果が出たりすることなんて、この世の中、実はあんまりない。

    もっと長い目で、5年、10年の間に出るくらいの気持ちでいた方がいいんじゃないかと思います。

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    ーー結構、長いですね。

    結果もだけど、それくらいのスパンをかけて、自分が本当に好きなものをゆっくり探していくのもありだよ。無理して見つけなくてもいい。

    まさにさっき聞いたおもしろい話があって。

    俺が習ってる水泳の先生のチームに、400メートル個人メドレーで世界2位の記録を持っている80代の人がいるらしいんですよ。

    その人の言葉で、「長く続けていくと周りが死んでいって、気がつけば2位になっていた」と。

    Keiya Nakahara / BuzzFeed

    とにかく変な無理をしないで、長く続けることで、競争相手がどんどんいなくなっていく。

    これって、好きを突き詰めることにも同じようなことが言える。

    突き詰めて深くなっていくほど、だんだん競う人がいなくなっていくし、「好き歴○年です」「おお、長いね!」って、一歩抜き出た人にもなれる。

    そしたら、気がついたらその分野ではなかなかの知識を持っている人になっていて、自然と存在感も出てくるんじゃないかと思います。

    なんも考えずに行動するなんてできない

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    ーー「存在感」を聴いて、「自分の内側に厳しい目を向ける勇気」をもらったという声もあります。たしかに、成長するという意味ではすごく必要なことだと感じました。

    向けなくてもいいんじゃない。やれる人だけでいいんじゃないかと思いますね。

    「あの人、なんにも考えずに欲しいと思ったものはすぐ取れちゃうんだ」みたいな人っているじゃないですか。

    デパートの地下で「どうぞ」って言われたら、なんの躊躇もなく2個くらい取れちゃう人。

    俺はなんも考えずに行動するなんてできないし、そうはなりたくないけど、ちょっとうらやましいと思うこともある。

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    それと同じで、自分に厳しい目を向けられる人は向けてもいいけど、なんも考えないでいられる人はしなくていい。みんなには勧めないですね。

    ーーKREVAさんは、自分に厳しい目を向けてきましたか?

    向けたくないですけどね。向けざるを得ないことはいっぱいありますね。

    ーー2012年、全国ホールツアーの最終公演のチケットが全然売れてないとTwitterで明かしたことがありますよね。隠すこともできたのに。

    周りのスタッフは避けようとしてたんですけど、俺は「言った方がいいでしょ」って。

    でも、現実を見なくていいんだったら見たくなかったですね。普通に会場が埋まってればよかったんですけど。

    【その1】これはまずいことになった。KREVA史上初の事態だ。フォロワー1万人越えを喜んでいる場合じゃない。結論から言うと、最終公演のチケットが…売れてない。いや!全然売れてない!

    ーーできることなら見たくない。

    それはそうですよ。ただ、なんとなく、ぬるっと過ぎていくのはイヤだなって。起きたことを隠して、なかったことにするみたいな。

    ーー厳しい現実を受け止めると、結果的にプラスに働くものなんでしょうか。

    跳ね返し方次第じゃないですか。

    最終公演の件は、普通だったらスルーしてもよかったし、スルーしてもちょっと傷を負うくらいの出来事だったと思います。

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    でも俺は、全身で受け止めて5倍くらいの傷を負ったけど、その分、何百倍にもして跳ね返す、多くの人に届けるつもりでやった。

    この時はイベントみたいな感じにしたけど、ネガティブなことを面白く上手に受け流せるようにできるといいですよね。

    今思い返すと、「売れてない」って正直に言ったことで、俺のことを好きになってくれた人がけっこう増えたような気もするな。

    「苦労は買ってでもしろ」は、嘘

    Keiya Nakahara / BuzzFeed

    ーー最終公演の件では、KREVAさん自身が「売れてない」と正直に言ったことで反響を呼び、結果的にチケットは売れました。今までの人生も、こうやって厳しい現実をちゃんと受け止めて生きてこられたんですか。

    うーん、ずっとじゃないな。それこそcleverにやってきましたね。ずる賢く生きてきたと思う。

    ーー厳しい現実を受け止めると、強くなれるものですか。

    傷はない方がいいんじゃないかと思うんですけどね。最近、とんでもない金持ちに会う機会が増えて。

    俺、自分がそんなにお金なかったから、金持ちがすっごいキライだったんですよ。

    だけど、金持ちの人たちって、俺が持ってる「なんだよコイツ、チェッ」みたいな妬ましい感じがないから、人として良い人が多いという気がしてきて。

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    良いと思ったら素直に「いいね」って言えたり。だから、傷を負うとか負の感情みたいなものを受け止める機会はない方がいいんじゃないかと。

    もちろん、負の感情をパワーにして勝ち上がるということもあるけど、負わなくていいなら、なくていいと思うし。

    「苦労は買ってでもしろ」というのは、多分嘘ですね。苦労はしなくていいと思う。

    Keiya Nakahara / BuzzFeed

    ーーなぜですか?

    どうしたって、まったく傷つかない無傷の人生はないと思うんですよ。大なり小なり、たとえば失恋とかね。

    魚なのか、犬なのか、猫なのか、亀なのかわからないけど、生き物や友だちとの別れとかで、どうしても傷つくことはある。

    必ず傷つく経験はやってくるので、無理に傷つかなくてもいいと思うし、自分に厳しい目を向けた方がいいとも思わない。

    好きを突き詰めて「俺はやってやるんだ!」って頑張ってる奴は、こんなこと言わなくても、絶対に自分からちゃんと受け止めて強くなって、存在感が出てくると思うし。

    だから、みんなが無理して苦労する必要はないね。

    Keiya Nakahara / BuzzFeed

    〈KREVA〉1976年6月18日生まれ、東京都江戸川区出身。国民的人気を誇るHIP HOPアーティスト。「BBOYPARK」のMCバトルで3年連続日本一の栄冠に輝く実績を持ち、現在に至るまでその記録は未だに塗り替えられていない。2ndアルバム「愛・自分博」でHIP HOPソロアーティストとして史上初のオリコンチャート初登場1位を獲得。8月22日(水)に、5曲入りの作品「存在感」をリリースする。