気象庁と国土交通省は9月3日、合同記者会見を開き、沖縄・九州地方へ接近している台風10号(ハイシェン)への警戒を呼びかけた。
台風10号は5〜6日にかけて沖縄地方に、6〜7日にかけて奄美地方や九州地方に接近、上陸する恐れがあり、記録的な大雨や暴風、高波、高潮に対する最大級の警戒が必要だという。
そのうえで、接近する地域に住む人々には、4日までに台風への備えを終わらせるよう呼びかけた。
勢力を維持したまま、沖縄・奄美地方に接近
台風10号は現在、強い勢力で日本の南海上を西に進んでいる。
今後、特別警報級の勢力まで発達し、9月5〜6日にかけて沖縄地方に接近する。
その後、勢力を維持したまま北上を続け、6〜7日にかけては奄美地方から九州に接近または上陸する恐れがある。
現在の進路の予測と風向きを踏まえると、現在警戒されているのは宮崎県など九州の東側での大雨だという。
だが、非常に発達した雨雲に伴う雨がどこで降るのかは、「台風の中心がどこを通るかによる」(気象庁担当者)。
そのため、九州の西海上ではなく中心付近や東寄りを通るルートへ進路が変わった場合、7月の豪雨で被害を受けた熊本県南部などにも大きな影響が及ぶ可能性があるという。
降雨量は、九州南部、奄美地方、沖縄地方で5日18時から6日18時までの24時間で200mmから300mmと予想されている。
だが、担当者は「この値だけを見るのでなく、6日18時以降もまだ雨が降るということをご理解いただきたい」としている。
また、奄美地方では5日の段階から「警報級の暴風」となる可能性がある。また、九州南部や奄美地方では5日の時点で波の高さも「警報級」になる見通しだ。
河川増水の影響も?必要に応じて早めの行動を
国土交通省は、今回の台風では「記録的大雨になる恐れがある」として、河川の増水氾濫や高潮被害への警戒と、「早め早めの行動」を呼びかけた。
「台風の接近する地域では、河川の増水氾濫が発生した際には、既に暴風により移動ができなくなる可能性も考えられます。風が強くなる前に早めに移動するなど、身の安全を確保していただければと思います」
「情報が入るまで待って、避難の行動を起こすということではなく、地域の状況などを見つつ、雨の降り方や風の吹き方を感じ取っていただいて、早め早めに対応していただく必要があります」
気象庁の担当者は、「安全ならば自宅内で安全確保を。危険な場合は、指定された避難場所への移動のほか、安全な親戚・知人宅等への移動も考えてください」とも呼びかけた。
そのうえで、「新型コロナ感染の懸念もありますが、危険な場所にいる人は自宅の外への避難をためらわないでください」と強調している。
もしもの場合に備え、住んでる地域のハザードマップを確認し、避難場所や避難経路を把握しておくことが重要だ。
仮に避難をすることになった場合には、脱げにくい紐付き運動靴などを着用し、持ち物をリュックに入れて両手が使えるような状態で避難をした方が良い。
また、車は浸水には強くないため、車による避難は特別な場合を除いて控える必要がある。
九州以外にも影響が
今回、台風は沖縄地方、奄美地方、九州地方を通過することが予想されている。
だが、懸念されている被害はそれだけではない。台風の北上に伴い、西日本の太平洋側、東海地方などで大雨になる可能性がある。
太平洋側では東日本であっても警報級の高波に異なることが予想されている。また、東日本でも大気の状態が不安定になることによる影響に注意が必要だという。