「都立高校の校則、なぜツーブロックはダメなのか」
共産党・池川友一都議会議員がTwitterに投稿した動画が230万回以上再生され、話題になっている。
Twitterでは「本当に意味不明なルールってあるんだな」「ツーブロックで、事件や事故にあうデータがあるのでしょうか」といった批判や疑問の声があがっている。
動画で紹介されているのは、3月12日の東京都予算特別委員会の質疑の一幕だ。
池川都議が「なぜツーブロックはダメなのか」と尋ねると、藤田裕司教育長は「その理由といたしましては、外見等が原因で事件や事故に遭うケースなどがございますため、生徒を守る趣旨から定めているものでございます」と回答している。
「外見等が原因で事件や事故に遭うケースなどがございますため、生徒を守る趣旨から定めているもの」
今回、話題となっている動画は以下の答弁についてまとめたものだ。
3月12日の東京都予算特別委員会で共産党の池川都議が東京都の藤田教育長に校則に関して、質問した。
池川:校則を見ていると、ツーブロック禁止という校則は一定数あります。ツーブロックは、かなり広い定義の髪型として今、定着していると考えます。
それを全体として禁止していることについて、何で禁止をされているのかという声がたくさん寄せられています。実際に、そのことによって指導を受けている生徒もいらっしゃいます。なぜ、ツーブロックはだめなんでしょうか。
藤田教育長:先ほども申し上げましたが、校則は、生徒が健全な学校生活を営み、よりよく成長していくことができるよう、必要かつ合理的な範囲で定められた学習上、生活上の規律でございます。
お尋ねの髪型につきましては、それを示している学校もございますけれども、きちんと類型を示しまして生徒に伝えているところでございまして、その理由といたしましては、外見等が原因で事件や事故に遭うケースなどがございますため、生徒を守る趣旨から定めているものでございます。
83.1%の全日制高校で頭髪に関する校則
頭髪に関する規則を定める都立高校はどれほど存在するのか。
実態を調査するため、日本共産党都議団は都立高校186校、都立中高一貫校(後期課程)5校の全191校の「校則」と「生徒指導内規」について、情報公開請求を行った。
その結果は2020年3月6日、記者会見で発表されている。
「校則」と「生徒指導内規」(どちらかのみも含む)の開示を行ったのは184校。83.1%の全日制の高校で頭髪に関する規則が設けられている実態が明らかとなった。
そのうち、10%程度の学校には「ツーブロックを禁止する」という旨が明記されているという。
ツーブロックの禁止、明記する学校も
この質問を行った池川都議はBuzzFeed Newsの取材に対し、「校則を決めるときに、生徒の声がほぼ聞かれていない。それが、一番の課題です」と語る。
「多くの学校で、髪の毛は染めてはいけない、ピアスはダメと細かく定められている。そして、現場の教員はそれをとにかく守らせることに力を尽くしています」
「3年間我慢すれば良いと思っている生徒も少なくない。学校も『これを破れば進路に関わる』『この学校では決まっているから』と明確な理由もないまま、とにかく従うように伝えているケースも多いのが現状です」
「文科省は最終的に校則を決めるのは校長の権限であるとしています。ですが、会社であれば社長が最後に決めるとしても、その過程でいろいろな意見を聞くのではないでしょうか。校長が一方的に校則を押し付けて良いということにはなりません」
池川都議は調査の過程で、様々な頭髪に関する校則を確認した。
美容室などで用いるカラースケールを使い、ある番号以降の髪色については認めない学校。地毛が明るい生徒に対して「地毛届け」の提出を求める学校。「学校が相応しくないと判断したものはダメ」とするものや、「ドライヤーやプールの塩素による色落ちであってもダメ」とするものまであるという。
「大人の世界ではツーブロックは非常にスタンダードな髪型です。清潔感のある髪型と言っても良い。そうであるにもかかわらず、学校では禁止されています。しかも、その理由は目も当てられないものです」
「事件や事故に遭うのを防ぐためという理由は、意味不明です。髪型が理由で事件・事故に遭うことなどあるのでしょうか? これは完全なミスリード、根拠のない校則だと思います」
校則は「子どもたちの意見を聞いて変わっていくもの」
今回、動画が思わぬ形で反響を集めた。
池川都議は、都議会での質疑の目的を「校則は大人によって変わるものでなく、子どもたちの意見を聞いて変わっていくものだと伝えること」だったと語る。
「これを機に、校則は変えていけると知っていただきたい。今あるルールを受け入れることが全てではなく、ルール変えていくこともできるのだと議論になればと思います」