「お酒は飲んだが食事は注文しなかった」NTTとの会食同席を認めた武田総務大臣が語ったこと

    「思い切ったことをするときにはね、相手と会っちゃいかん」「『フェア』にやっています」と語っていたが…

    国会でこれまで「私は国民の皆さんから疑念を招くような会食に応じることはありません」と繰り返し答弁していた武田良太総務相。

    しかし、その本人が総務相就任後にNTTの澤田純社長、NTTドコモ独立社外取締役の遠藤典子氏らと会食していたことが、週刊文春の報道で明らかとなった。

    3月18日の参議院予算委員会で、野党からこの問題を追及された武田総務相は「一方的な報道」だとし、「中座する前提でお酒のみをいただき、食事は注文しなかった」と答弁した。

    「会合に同席をしたことは事実」

    問題の会食があったのは、2020年11月11日。

    週刊文春によると、会食にはNTTの澤田社長、NTTドコモ独立社外取締役の遠藤氏、JR東海の葛西敬之名誉会長が同席していたという。

    立憲民主党の白眞勲議員がこの会食について質すと、武田総務相は以下のように答弁した。

    「本来であれば個別の事案一つひとつにお答えするのは控えさせていただくところでありますけれども、今回の件に関しては、事前の事実確認の問い合わせが私の方には一切ございませんでした。一切、事務所にもござませんでした。問い合わせがないままに、一方的な報道がなされておりまして、私としても大変大きな驚きを覚えるとともに本件の事実関係を明らかにしなければならないという思いを強く持つにいたりました」

    「その上でお答えしますけれども、11月11日にJR東海の葛西名誉会長が主催した会合に同席をしたことは事実であります」

    「お酒のみをいただき、食事は注文しなかった」

    武田総務相は「会合」への同席は事実と認めた上で、その場はJR東海の葛西会長に案内されたものであるとし、「短時間顔を出すということで出席をした」と説明。

    当日まで、誰が参加するのかメンバーについては「報告がなされていなかった」とした。

    また、「会合」には遅れて参加し、途中で退席したため食事は注文しなかったと答弁している。

    「当日は別の予定もあったことから、中座する前提でお酒のみをいただき、食事は注文しなかったというのが実情でございます。わずかな滞在時間であったことからビールを少々飲んで退席したと記憶していますが、費用として1万円をお支払いしております」

    「そして、その席では、とにかく遅れて行って早く帰るわずかな時間であったために、主催者である葛西会長とは色々な世間話はさせていただいたところですけれども、その他の出席者の方とは挨拶程度で個別的な話は一切していないというのが事実であります」

    なぜ会食をすることに?

    週刊文春の報道ではNTT側が武田総務相を連れて行ったとされているが、この点については「まったく事実ではない」と述べた。

    報じられた会食の場が設けられた経緯について武田総務相は、2019年のラグビーW杯に先立ち、世界の国会議員らによるラグビーW杯を開催した際にリニアモーターカーを視察させてもらったこと等についてお礼を伝えたところ、「一度、東京で食事でも」と葛西名誉会長側から打診があった、と説明した。

    新型コロナウイルスの感染拡大や7月の熊本県の豪雨災害などで日程が延び、結果的に11月に場を持つことになったとし、「まぎれもなく葛西会長の席、お誘いである」という。

    葛西名誉会長側からは日時、場所、地図と担当者の名前と会長の名前が記されたメールが届いたと語り、他の参加者についての言及は一切なかったという。

    白議員が仮に2人の場であるならば途中退席ではなく、最後までいるつもりでいたのか尋ねると、「公務そして他の業務がだんだんと長引き、約束の時間にいけなかった」「しわ寄せが後の会合にも来て、わずかな時間しか滞在することができなかった」と述べた。

    なお、当日遅れて参加すること、中座することについては事務職員から伝えていたとした。

    昨年12月のインタビューとの矛盾を問われ…

    ーー携帯各社の方々には就任時にごあいさつしたのですね。その後は、値下げに関してさまざまなやりとりをされましたか。

    武田:いや、自身が料金値下げに取り組む中では、携帯事業者の人にむしろ会うべきではないと思いました。私は方向性を示した後、料金引き下げに関することでは一切会っていません。というのは決断が鈍るからです。人間っていうのは、思い切ったことをするときにはね、相手と会っちゃいかんのですよ。情も芽生えるし、そこのところは「フェア」にやっています。

    (「武田総務相が初めて明かす、ドコモ『異次元値下げ』に至る舞台裏」, ダイヤモンドオンライン)

    白議員は2020年12月21日にダイヤモンドオンラインに掲載された携帯電話の料金値下げに関する武田総務相のインタビューの一節を引用し、「その通りなんです。情が芽生えちゃうんですよ、お酒を飲んだりすると」と語り、矛盾を指摘した。

    会食があったのは、通信事業者28社がNTTによるドコモの子会社化は公正な競争を阻害すると懸念を表明している時期のことだった。

    NTTやNTTドコモの役員がいる場で酒を飲む是非を問われると、武田総務相は「大臣規範では、関係業者との接触においては供与接待を受けるなど国民の疑惑を招く行為をしてはならないとされている。私は供与接待を受けてはいません」と返答。改めて報じられた会食は「接待」ではないとした。