来年の祝日、なぜ未定? 五輪延期の影響、7月の「4連休」は実現するのか

    東京五輪開催に合わせ、特例で移動した3つの祝日。五輪の延期で来年の祝日はどうなるのか。内閣府は「未定」と取材に語る。

    2020年も残り100日を切った。しかし、2021年の「祝日」の一部が、いつになるのか、まだ決まっていないことが分かった。内閣府が、BuzzFeed Newsの取材に明かした。

    新型コロナウイルスの感染拡大により延期となった東京五輪の影響で、国会が開かれていないことが、その理由だ。

    法案が可決されれば7月に4連休

    本来であれば今年開かれる予定だった東京五輪の開催に合わせ、「海の日」「スポーツの日」「山の日」の3つの祝日は、いずれも7月23日、24日と8月10日に移動されていた。

    しかし、コロナ禍で五輪は1年延期に。祝日だけがそのまま残される形となっていた。では、来年の祝日はどうなるのだろうか? 内閣府大臣官房総務課の担当者は、BuzzFeed Newsの取材に対し「未定」と語る。

    実は、2021年の祝日についても今年と同様に「特例」を設ける法案は、閣議決定を経て既に、5月29日に国会に提出されている。この法案には、以下のように3つの祝日の移動が盛り込まれている。

    (1)海の日(7月第3月曜)→7月22日:五輪開催式前日

    (2)スポーツの日(10月第2月曜)→7月23日:五輪開催式当日

    (3)山の日(8月11日)→8月8日:五輪閉会日

    時事通信によると、当初「山の日」を8月9日に移動させる案もあったが、長崎原爆忌であることから、祝日にそぐわないとの異論が出されて修正されたという。

    法案が可決された場合には、8月8日は日曜日のため9日が振替休日となる。それぞれ、7月22日から25日まで4連休、8月7日から9日まで3連休となる。

    内閣府「審議が終了していません」

    だが、この法案の審議はまだ終了していない。担当者はこう語る。

    「法案は審議には入っていますが、通常の会期中には終わらず、9月の臨時国会は法案を審議する趣旨で開かれたものではないため、審議が終了していません」

    今年の通常国会の会期は1月20日〜6月17日だった。新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部改正などの法律が成立したが、この特例に関する法案は審議未了のままになっていたのだ。

    野党側は新型コロナウイルス感染拡大の第2波に継続的に対応することなどを理由に臨時国会の召集を求めていたが、政府与党側はこれに応じていなかった。

    また、菅義偉新首相の指名のために9月16日には臨時国会が召集されたが、これも計3日で終了。やはり野党側は菅総理大臣の所信表明演説やそれに対する質疑などを求めていたが、実現しなかった。

    カレンダー業者からの問い合わせも…

    2020年も残りわずかとなる中、翌年の祝日が決定していないことは様々な影響を及ぼす。特に大きいのがカレンダー業界への影響だ。

    BuzzFeed Newsがその点の懸念を担当者に聞くと、「個人的な意見はお伝えすることはできない」とした上で、「カレンダー業社さんからの問い合わせが多く寄せられている」と実状を明かした。

    「国民の祝日が移動しない日程が現状では最新のものですが、業者さんによっては現在の情報で刷って、下に注記で変更する可能性がありますとしているものもあるとお伝えしています」

    カレンダーは前年の10月末以降が納期。そのため、納期の1年ほど前から製作を開始する場合もあり、すでに出来上がっているものも少なくないということになる。

    時事通信によると、次の臨時国会は10月23日に召集される見通しだ。担当者はそこで法案が可決し、来年の「祝日」が決まるとみている。

    しかし、毎日新聞によると政府内では「五輪の簡素化」を理由に祝日を移動する法案の必要性を疑問視する声も出ていたという。

    そもそも今回の祝日の移動は「交通混雑の緩和、国民の機運醸成等の観点」から提案されているため、簡素化で前者の理由は必要なくなるのでは、との見方だ。

    臨時国会での審議次第ではあるが、来年のカレンダーには、本来とは異なる祝日が掲載されることになるのかもしれない。