週刊ポストの「韓国なんて要らない」特集、編集部がお詫び 批判相次ぎ

    作家や読者から批判が相次いでいたことを受け、編集部は「誤解を広めかねず、配慮に欠けておりました」と回答した。

    9月2日発売の小学館『週刊ポスト』(9月13日号)で「韓国なんて要らない」と題した特集を掲載した。これにTwitter上で「憎悪を煽っている」「ヘイトスピーチです」といった指摘が相次いでいる。また、連載の休止や、「今後は小学館と仕事をしない」と表明する作家が相次いでいる。

    編集部はBuzzFeed Newsの取材に「多くのご批判を頂きました」としたうえで、「誤解を広めかねず、配慮に欠けておりました。お詫びするとともに、他のご意見と合わせ、真摯に受け止めて参ります」と回答。これと同じ内容のコメントを、週刊ポストの公式サイトにも掲載した。

    一方で、次号でのお詫びの掲載や雑誌の回収については「考えていない」という。

    問題の特集、その内容は?

    今回の特集は「隣国だから友として親しく付き合わなければならないーそんな”固定観念"を一度、考え直すべき時期なのかもしれない」という一文ではじまる。「断韓」で何が起きるのか「禁断のシミュレーション」をした、という内容だ。

    第一部ではGSOMIAを破棄した韓国のデメリットを軍事、経済、スポーツ、観光、芸能の5つの面で検証。第二部では大韓神経精神医学会が2015年に発表したとされるレポートや在韓ジャーナリストの指摘などを交えながら、日本人と韓国人の国民性は「全く異質」であると結論付けている。

    「韓国なんて要らない」に相次ぐ批判の声

    「週刊ポスト」広告。これでいいのか、と疑問視する人は、編集部にいないのだろうか。

    9月2日付の読売新聞、朝日新聞、毎日新聞の朝刊に、特集タイトルを大きく打ち出した週刊ポストの広告が掲載された。

    この広告の画像や、ポストの表紙の画像がSNS上で広まり、今回の特集を疑問視する声が相次いだ。

    『週刊ポスト』の「10人に一人は要治療 怒りを抑制できない 韓国人という病理」という見出しは、人種差別と憎悪を煽るヘイトスピーチです。 韓国籍を有するわたし、わたしの家族、親族、10人います。 10人のうち一人は、治療が必要?

    ポスト見本誌見て唖然とした。持ち回りとはいえ連載持ってるのが恥ずかしい。 表紙や新聞広告に酷い見出し踊らせてるけど、日本には韓国人や韓国にルーツある人もいっぱいいるんだよ。子供だっているんだよ。中吊り広告やコンビニでこれ見たらどういう気持ちになると思ってんだよ? ふざけんなよ。

    連載を休むと発表した作家、「今後小学館と仕事はしない」と発言する作家も

    【大事なお知らせ】 深沢潮より、「週刊ポスト」での連載についてのお知らせがあります。

    そんな中、『週刊ポスト』でリレーエッセイ「作家たちのA to Z」を執筆している作家・深沢潮さんは「この度の記事が差別扇動であることが見過ごせず、リレーエッセイをお休みすることにしました」とFacebookとTwitterで発表した。

    というわけで僕は今後小学館の仕事はしないことにしました。幻冬舎に続いて二つ目。こんな日本では、これから先「仕事をしない出版社」がどんどん増えると思いますけど、いいんです。俗情に阿らないと財政的に立ち行かないという出版社なんかとは縁が切れても。 https://t.co/M40UeOaMDm

    また、今回の特集をうけて内田樹さんも「今後小学館の仕事はしないことにしました」と発表している。

    特集をめぐっては、小学館の企業理念との矛盾するという指摘も出ている。

    出版物が世の中全ての悪いことを無くすことはできないが、人の心に良い方向を生み出す、何らかの小さな種子をまくことはできる。人生の中で大きく実となり、花開く種子をまくという仕事が出版であり、これが当社の理念です。(小学館公式サイト

    フードライターの白央篤司さんは「この矛盾を編集部は、社はどう考えるのか」とツイートしている。

    週刊ポストを発行している小学館は出版理念として「出版物が世の中全ての悪いことを無くすことはできないが、人の心に良い方向を生み出す、何らかの小さな種子をまくことはできる」と明記している。悲しい。この矛盾を編集部は、社はどう考えるのだろうか。 https://t.co/lV2z2GdZmg

    BuzzFeed Newsの取材に週刊ポスト編集部がメールで回答した内容は、以下の通り。

    弊誌9月13日号掲載の特集『韓国なんて要らない!』は、混迷する日韓関係について様々な観点からシミュレーションしたものですが、多くのご意見、ご批判をいただきました。

    なかでも、『怒りを抑えられない「韓国人という病理」』記事に関しては、韓国で発表・報道された論文を基にしたものとはいえ、誤解を広めかねず、配慮に欠けておりました。

    お詫びするとともに、他のご意見と合わせ、真摯に受け止めて参ります。