岸田首相は「極めて不誠実」 選択的夫婦別姓について何を、いつまで議論する? 野党の質問に…

    立憲民主党の西村幹事長は「さらに、何をいつまで議論するのか、明確にお答えください」と岸田首相の見解を質した。

    衆議院で12月8日、代表質問が行われた。6日に所信表明演説を行った岸田首相に、各党の代表者が質問する場だ。

    トップバッターを務めたのは野党第一党・立憲民主党の泉健太代表。同党の西村智奈美幹事長も質問に立った。

    最大野党の代表と幹事長が岸田首相に突きつけた質問と、首相の回答は。

    泉代表「総理は遅すぎた救助隊」

    「総理は私に言わせれば、遅すぎた救助隊ではないかと、こう思っています」

    泉代表はこう切り出し、まず新型コロナウイルス感染症対策に関する質問を投げかけた。

    泉代表は感染拡大初期、当時は自民党政調会長を務めていた岸田氏に、収入が減った個人への追加給付や医療従事者への手当、PCR検査の拡大などを求めていた、と振り返った。

    「岸田政調会長は当時、それらを実現しませんでした。その後、第3波、第4波、第5波と大きな被害が起きた。なぜ自民党政調会長時代に必要な手を打たなかったのですか?」

    岸田首相は次のように回答した。

    「当時は新型コロナの感染力の実態などがまだ明らかでない状況の中にあり、またワクチンや治療薬が開発されていない中で新型コロナから国民の命を暮らしを守り抜くことを優先し、できるだけの対策を講じてきたと振り返っています」

    「具体的には病床確保や人材確保のための支援、新型コロナなどの影響を受けておられる方々の事業を雇用、暮らしを守るため事業規模に応じた協力金や補助金支給など世界的に見ても、最大規模の対策を講じた次第です」

    泉代表は新型コロナの感染経路について、政府が認めている「エアロゾル感染」は「空気感染」とイコールではないかと主張した上で、「飛沫と接触だけでなく、空気感染があり換気も重要であると明確に発信していただけますか?」と岸田首相の見解を問いただした。

    前提としてエアロゾルとは水分を含む微細な粒子のこと。エアロゾル感染は、空気中にウイルスが長時間漂うことによって感染が広がる結核や麻疹などの「空気感染」とは区別して使われている。

    岸田首相は「空気感染の定義については様々な議論があるものと承知をしている」と前置きした上で、「エアロゾル感染とはウイルスを含む飛沫よりさらに小さな、水分を含んだ粒子によって引き起こされる感染」「空気感染とは異なる」との見解を示した。

    「エアロゾル感染については接触感染や飛沫感染では説明できないものとして、当初より注意を呼びかけ、3密の概念の提唱を行うとともに換気の徹底も発信してきたところです」

    選択的夫婦別姓、何をいつまで議論?

    西村幹事長は選択的夫婦別姓、同性婚について岸田首相の認識を質した。

    岸田首相は3月に発足した自民党の「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」の呼びかけ人に名を連ねている。しかし、自民党総裁選においては選択的夫婦別姓については慎重な姿勢を示した。

    さらに10月の通常国会でも、「選択的夫婦別氏制度の導入については、国民の間に様々な意見があるところ。引き続きしっかり議論すべき問題である」と答弁している。

    西村幹事長はこの答弁を「極めて不誠実な答弁」と批判。「法制審議会の答申から既に25年も議論してきています。さらに、何をいつまで議論するのか、明確にお答えください」と質問した。

    岸田首相はこう述べた。

    「選択的夫婦別氏制度の導入については、現在でも国民の間に様々な意見があることから、子どもの氏のあり方についてしっかり議論をし、より幅広い国民の理解を得る必要があると考えています」

    また、同性婚については下記のように語った。

    「性的指向、性自認を理由とする不当な差別や偏見はあってはなりませんが同性婚制度の導入については家族の在り方の根幹に関わる問題であり、極めて信用な検討を要するものであると考えています」

    憲法改正は「私の本意」

    「岸田総理は憲法改正にずいぶん前のめりなご発言が目立ちます。久しぶりの自民党内リベラル派、宏池会総理として、ご自分の本意なのか。安倍前総理など党内の改憲に前向きな勢力へのご配慮なのか明確にお答えください」

    西村幹事長は、改憲に積極的な発言を続ける岸田首相の真意について質問する一幕も。

    岸田首相は「大きく時代が変化する中にあって、現行憲法が今の時代にふさわしいものであり続けているかどうか、そのあり方に真剣に向き合っていく責務がある」と回答。

    「憲法改正に取り組むことは、まさに私の本意であります」と語った。