「まったく記憶にない」「まともなマスコミは書かなかった」過去の問題発言について2人の大臣が語ったこと

    衆議院予算委員会で過去の問題発言を問い直された麻生太郎財務相と平沢勝栄復興相。麻生氏、平沢氏の答えは…

    「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などの発言が女性差別であると批判を集めた、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の会長で元首相の森喜朗氏(83)。

    2月9日の衆議院予算委員会でも野党から発言への批判の声が上がり、麻生太郎財務相や平沢勝栄復興相の過去の問題発言を改めて問い直す場面もあった。

    質問に対し、麻生氏は「まったく記憶にない」、平沢氏は「講演の一部を取られた」「まともなマスコミは一切、その部分は書かなかった」と答弁し、はぐらかした。

    進まぬ男女共同参画、麻生財務相「増えている気がします」

    立憲民主党の金子恵美議員は森会長の発言について、「本当にひどい」「性差別以外の何ものでもない」と批判。

    選択的夫婦別姓の文言削除や指導的地位における女性割合の期限の延長など、国の男女共同参画が「後退」しているとして、政権与党の議員が性差別の意識を持ちながら政治活動をしていては「世の中は変わらない」と訴えた。

    その上で、麻生副総理兼財務相に「なぜ、この(男女共同参画計画の)目標達成できなかったとお思いですか?」と質問。

    麻生氏は「なぜ?」と問い返した上で、次のように答弁している。

    「今、進んでいるという話で、これは3割目標ということで最初スタートしたんですね、役所の採用人員について。ここからスタートしたと思うんですが。えっと、5年くらい前か、金融庁5割だと思いますけどね。調べてみてください。知らなかったでしょ? むしろ。3割以上ですよ、5割いった時もあったと思う」

    そのほか、日本銀行でも初の女性理事が誕生したこと、地方財務局に女性の局長が誕生したことを紹介し、民間企業での女性役員の比率、政府審議会等での女性委員の比率も「増えている気がします」「女性が増えてくる道筋が出来つつあるんだと思います」「私の見える範囲では確実に動いているかな」と強調した。

    「ちょっといつの発言だか、まったく記憶にない」

    麻生氏の答弁を受け、金子議員は「一部のことをおっしゃっていただいても響いてこない」として、政治家による性差別発言のワースト投票の結果を紹介した。

    「公的発言におけるジェンダー差別を許さない会」が2019年にインターネット上で投票を募ったもので、ワースト1位となったのは、2588票を獲得した麻生氏の以下の発言だった。

    「(日本人の平均寿命が延びたのは)いいことじゃないですか。素晴らしいことですよ。いかにも年寄りが悪いみたいなことを言っている変なのがいっぱいいるけど間違ってますよ。子どもを産まなかったほうが問題なんだから」(2019年2月3日、福岡県芦屋町での国政報告会で)

    金子議員は「撤回した、謝罪したということは関係ない。この言葉というのは、ずっと女性に突き刺さるかもしれない。弱い立場の人に突き刺さっていくかもしれない、そして残るんです。子どもを産まなかった方が問題なんだから、という発言についてどう思われますか?」と問いかけた。

    麻生氏は「ちょっといつの発言だか、まったく記憶にないのが正直なところ」とした上で、次のように述べた。

    「子どもを産める状態になかった方もいるでしょうし、病気とか色々な事情もおありでしょうし、そうでない方もいらっしゃる。これは、一概に言えない話だと思っていますけれども、少なくとも結構貧しい時代に200万人産めた状況が、今はこれだけ豊かになって100万人いかないという事態は、少なくとも両方で検討しなくちゃいかん大事な話だと思いますよ。夫婦で、国のことを考えたら。そういうことだと思っているんですけどもね。そこは違うんでしょうか? 捉え方が」

    「まともなマスコミは一切、その部分は書かなかったんです」

    金子議員は「ポンとでる言葉の中に本意があるんじゃないかと思ってしまう。森会長も同じで、日頃から思っていることが、ポンと出ちゃう」と述べ、前出の投票でワースト3位となった平沢復興相の発言についても言及した。

    「LGBTで同性婚で男と男、女と女の結婚。これは批判したら変なことになるからいいんですよ。もちろんいいんですよ。ただ、この人たちばっかりになったら国はつぶれちゃうんですよ」(2019年1月3日、山梨県内の集会で)

    平沢氏の答弁は次の通りだ。

    「先ほどの番付は私が山梨でした講演の一部を取られたものですけれども、前後全部見てもらわないと、その部分だけつまみ食いされますと、たしかにそういうことを言っていますけれども、前後をぜひ見てもらえますようお願いしたい」

    「だからこそ、まともなマスコミは一切、その部分は書かなかったんです。一部が書いたんです。ですから、ぜひとも全部を見ていただくようお願いします」

    その上で森会長の発言の影響については、ボランティアの辞退など「影響ゼロということはいかない」としながら、「おそらく森さんの発言があったからといって、オリンピック行うことに支障が出るということはないと思っています」と語った。

    なお、平沢氏の「LGBTばかりでは国がつぶれる」との発言は、集会が開かれた山梨の地元紙・山梨日日新聞が報道。その後、時事通信、共同通信が報じ、毎日新聞や産経新聞、NHK、朝日新聞なども報道している。

    金子議員は平沢氏「まともかどうか、誰が判断するんでしょうか?切り取った、切り取らないにしてもこういう言い方というのは問題」と指摘。

    「出てしまった言葉が、いかに多くの人を傷つけることがあるのかどうか。そこの意識改革をきちんとしていかなくてはいけないのではないかと思いますし、それだけ影響力のある方が発言したら、世界まで届いてしまうんです」と改めて訴えた。