コロナ対策は? 所得の倍増って? 自民党改革は? 岸田新総裁が最初の会見で語った5つのこと

    コロナ対策へ注力することや分配を重視した経済政策に取り組むことなど、自民党の岸田文雄新総裁が語ったこととは。

    自民党の新総裁に就任した岸田文雄氏が9月30日、自民党本部で総裁として初めての記者会見を開いた。

    コロナ対策や経済政策、そして党人事など、岸田氏が語った内容を5つのポイントにまとめた。

    (1)コロナ対策は?

    岸田氏は「我が国は国難と言われる厳しい状況の中にあります」と危機感を示した上で、「コロナ対策、これからもすべてをかけて必死に取り組んでいかなければなりません」と語った。

    その上で、岸田氏は2つの「雰囲気」を作っていきたいと述べた。

    「国民の皆さんがこのコロナによって心をバラバラにされてしまっている。こうした状況に対して、ぜひみんなで頑張ろうという心をしっかりと取り戻し、ワンチームとして国難に取り組んでいく。こうした雰囲気を作っていかなければなりません」

    「コロナ対策には、国民の皆さんの協力を欠くことができません。年内に数十兆円規模の経済対策を策定することによって、多くの国民の皆様に協力していただける雰囲気を作っていきたいと思います」

    (2)経済対策は?

    総裁選を戦う上で岸田氏が掲げてきたのが、「新しい資本主義の構築」「令和版所得倍増のための分配施策」だ。

    会見でも、「いまこそ、成長と分配の好循環を実現し、全国津々浦々に『成長の果実』を届けていきたい」とした。

    「成長の果実」とは、所得の引き上げを意味する。

    ・大企業と中小企業の格差
    ・高所得者層と中所得者 / 低所得者層の格差
    ・大都市と地方の格差

    こうした格差を埋めるためにも、岸田氏は大企業と下請け企業の分配の見直しや企業における従業員への適切な分配など民間の取り組みだけでなく、公的な分配が必要だとしている。

    具体的には、中所得者や低所得者の負担となっている教育費・住居費などへの支援や税制の見直し、看護師や介護士などの職業につく人々の公的価格の見直しに取り組むという。

    こうした所得の増加をはじめとする分配政策は消費を喚起することで、経済全体に好循環を引き起こすと主張している。

    (3)自民党改革は?

    報道陣からは、岸田氏とともに総裁選に立候補した河野太郎氏、高市早苗氏、野田聖子氏や、自民党内の実力者として知られる安倍晋三・元首相らの処遇について問う声が上がった。

    岸田氏は「3人の総裁候補の皆様方も、またその他の党の実力者の方々も素晴らしい才能、能力を持っておられます」とコメント。

    「特に総裁候補の皆様方は一緒に政策論争をするなかで、その素晴らしさを実感しております。党内において能力を発揮していただけるようなことを考えていきたい」と語った。

    総裁選に立候補をした際、岸田氏は「自民党改革」を行うと主張。党役員は1期1年・連続3期までとすることや党役員に中堅若手を積極的に登用することや比例選挙区の73歳定年制を厳格に適用することを掲げてきた。2016年に史上最高齢の幹事長として着任し、その座にあり続けた二階俊博氏の交代などを念頭に置いた発言だ。

    総裁として「自民党改革に対する思いは1ミリたりとも後退していない」と語った。

    (4)森友問題・加計問題の再調査は?

    森友学園をめぐる問題や加計学園をめぐる問題について、再調査の必要性を名言にすることはなかった。

    岸田氏は「行政・司法における取り組みが行われたとして、国民の皆さんがそれでもご意見があるというのであれば、政治の側から説明していかなければならない」と言及。

    その上で、「何よりも大事なのは公文書の管理」とした。

    公文書を適切に管理することは「行政の基本、そして国民の行政への信頼の根幹である」とし、「指摘されたようなことが二度と起こらないように、公文書管理の適正化、再発防止は政治の責任として行わなければいけない」と語った。

    また、河井克行元法相夫妻による選挙買収事件については、今後提出される報告書を確認した上で「必要であれば説明する」とした。

    (5)新総裁の決断力は?

    総裁選を通じて強調してきたのは、「特技は人の話をよく聞くこと」という言葉だ。

    報道陣からは、菅義偉首相が9月28日の会見で官房長官と総理大臣の違いについて最終的な判断を下す「決断の重み」を強調したことに触れ、岸田新総裁の決断力を問う質問が出た。

    岸田氏は次のように答えた。

    「トップダウンで結論を皆さんに飲んでもらうという決断もあれば、丁寧に多くの皆さんの声を聞き、最後は自分で決断するという方法もある。どちらが良いかではなく、必要な場面で必要なことを判断する」

    「できるだけ多くの皆さんの声を聞いた上で、決断する。こういった手法をできる限り大事にしたい」