自民党新総裁に選ばれた岸田氏が総裁選で掲げた公約は?

    「足元においては、引き続き我が国の国難が続きます」と危機感を示しつつ、「さっそく今日から全力で走り始めます」と意気込みを語った。

    9月29日に行われた自民党総裁選で岸田文雄氏が新しい総裁に選ばれた。

    岸田氏は10月4日召集の臨時国会で、第100代の首相となる見通しだ。

    岸田氏は総裁選で、何を公約として掲げたのか。

    「引き続き我が国の国難が続きます」

    「多くの国民のみなさんが、政治に声が届かない、政治が信じられない。そうした切実な声を上げておられました。私は今や、我が国の民主主義の危機にある、こうした強い危機感を感じ、我が身をかえりみず、誰よりも早く総裁選に立候補いたしました」

    岸田氏は新総裁にされた直後、こう語った。

    「引き続き我が国の国難が続きます。コロナ対策を必死の覚悟で努力を続けていかなくてはなりません。また、数十兆円規模の経済対策を年末までにしっかりと作り上げなければなりません」


    「そして、その先には新しい資本主義、また自由で開かれたインド太平洋の実現、少子化対策など我が国の未来に関わる重大な課題が山積しています。私はさっそく今日から全力で走り始めます」

    総裁選で掲げた政策は?

    岸田氏は「声をかたちに。信頼ある政治」というスローガンを掲げ、総裁選を戦った。

    「自民党改革」を行うと主張しており、党役員に中堅若手を積極的に登用することや比例選挙区の73歳定年制を厳格に適用すること、「政治と金」の問題については丁寧な説明と透明性確保を行うことを明言してきた。

    岸田氏が総裁選で掲げた政策は次のとおりだ。

    【1】コロナ対策:「医療難民ゼロ」

    「医療難民ゼロ」を掲げ、臨時医療施設の開設や大規模宿泊施設の借り上げ、国公立病院のコロナ重点病院化などを宣言。

    他にも、家賃支援給付金・持続化給付金の再支給や困っている人々への給付金支給など数十兆円の経済対策や電子的ワクチン接種証明の活用と検査の無料化・拡充、「健康危機管理庁(仮)」創設を表明している。

    【2】経済:成長だけでなく分配を重視

    「新しい日本型の資本主義」を実現するとし、「成長なくして分配なし」だけではなく「分配なくして次の成長なし」と強調。「国民を幸福にする成長戦略」と「令和版所得倍増のための分配施策」を進めるとしている。

    子育て世帯の住居費や教育費の支援や看護師・介護士・幼稚園教諭・保育士などの報酬を増やすために、公的価格を見直すという。

    【3】外交・安全保障:「毅然とした対応が不可欠」

    「外交・安保には国益のために腹をくくり、毅然とした姿勢が不可欠だ」と語り、中国の人権問題を担当する首相補佐官を新たに設置する考えを示している。

    また、ミサイル防衛体制の整備にも取り組む考えだ。

    靖国参拝については「時期、状況を考えた上で、参拝を考えたい」としている。

    【4】社会保障・子育て支援:厚生年金の適用範囲を拡大

    「厚生年金を広げて多くの人を取り込む」という。

    これまでも厚労省はパート勤務など短時間労働をする人々へ厚生年金の適用を拡大してきた経緯があり、その取り組みを続けていく姿勢だ。

    「こども庁」については、「専任大臣を置くということも含め、しっかり進めていかなければならない」と語り、創設を目指す考え。

    【5】選択的夫婦別姓・同性婚:慎重な姿勢

    3月に発足した自民党の「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」の呼びかけ人に名を連ねているものの、総裁選においては選択的夫婦別姓については慎重な姿勢を示している。

    同性婚についてはテレビ番組で、「現状において(同性婚を)認めるということまではいたっておりません」と語った。