岸田内閣、21人の大臣の顔ぶれは? どんな人たち? 最年少は44歳、最年長は…

    初入閣を果たしたのは13人。女性の閣僚は3人だ。

    自民党の岸田文雄総裁が10月4日、臨時国会で第100代の首相に指名された。

    この日、岸田内閣の顔ぶれが発表された。

    初入閣を果たしたのは13人。女性の閣僚は3人。最年少は44歳、最年長は77歳だ。どんな顔ぶれなのか。

    1. 首相:岸田文雄氏

    1957年、東京都出身。早稲田大法学部卒。

    父親は元衆院議員の岸田文武氏、祖父は元議院議員の岸田正記氏、従兄弟は参議院議員・経済産業相を務めた宮澤洋一氏という政治家一家。

    大学卒業後は日本長期信用銀行を経て、父・文武氏の議員秘書に。1993年の衆議院選で、前年に亡くなった父の地盤を継ぎ、初当選した。

    小泉内閣で文部科学副大臣、福田内閣で内閣府特命担当相に。その後も自民党の国会対策委員長、外務大臣、防衛相、政務調査会長など重要ポストを歴任した。

    外相時代(2012年12月〜2017年8月)には、専任に外相として在職期間が歴代最長となった。

    2020年には安倍晋三元首相退任後の自民党総裁選に出馬したが、菅義偉氏に敗れた。

    これまで4人の首相を輩出してきた名門派閥「宏池会」(岸田派)の会長を2012年から務める。好物は地元・広島のお好み焼き。広島カープのファン。

    2. 官房長官:松野博一氏

    1962年、千葉県出身。早大法学部卒。

    ライオン株式会社を経て、松下政経塾に入塾。2000年の衆院選で初当選した。

    厚労大臣政務官、文部科学副大臣、文部科学相、自民党副幹事長、自民党の総務会長代行などを歴任。

    自民党の「男性の育休『義務化』を目指す議員連盟」の会長を務め、男性の育児休業取得のための法改正に取り組んできた。

    自民党の最大派閥・細田派に所属し、同派の事務総長を務めてきた。

    官房長官と沖縄基地負担軽減担当相と拉致問題担当相も兼務する。

    過去には地元紙・千葉日報の取材に「制定以来73年が経過した現行憲法の三大原則を堅持しつつ、環境や社会の価値観の変化、新たなニーズを踏まえて改正を発議したい」と語り、改憲への意欲を見せた。

    ホームページには「Pine Field of Dreams」と題したエッセイが8本掲載されている。

    政治家はどこで酒を飲むのか」というエッセイでは「実際のところ『料亭に行ったことがありますか』と聞かれれば、『ある。でも、ほとんど無い』という答えになる」などと記し、自宅の裏庭でビールを飲むのがお気に入りと綴っている。

    3. 財務相:鈴木俊一氏

    1953年、東京都生まれ。早大教育学部卒。鈴木善幸・元首相の長男。麻生派に所属し、麻生太郎前財務相の義弟にあたる。

    1990年の衆院選で初当選して以来、環境相、オリンピック・パラリンピック担当相、自民党総務会長などを歴任した。

    アベノミクスには肯定的な立場。NHKによると、2020年3月には消費税減税について、「私は慎重であるべきだと思う」と述べており、消費税減税には消極的。

    今回の総裁選では、岸田氏の推薦人代表となっていた。金融担当相も兼務。

    4. 経済産業相:萩生田光一氏


    1963年、東京都生まれ。明治大商学部卒。大学在学中から黒須隆一・八王子市議の秘書を続け、1991年に八王子市議選に出馬し、最年少で初当選した。

    2001年から東京都議を務め、2003年の衆院選では東京24区に自民党から立候補し、国政に転じた。

    安倍氏の側近とされ厚い信任を受けてきた。これまで自民党筆頭副幹事長および総裁特別補佐、官房副長官、文科相を歴任。

    細田派に所属する。

    加計学園の問題が明らかになった際には、2016年に早期開学は「総理のご意向」とする文書が見つかり、その文書に萩生田氏が関与していたことが指摘されている。しかし本人は「記憶にない」としている。

    5. 外務相:茂木敏充氏


    1955年、栃木県生まれ。東京大経済学部卒。

    丸紅に就職。読売新聞に転じ、政治部記者に。その後、コンサルタントとしてマッキンゼーに転職した。

    1993年衆院選に日本新党公認で旧栃木2区に出馬し、初当選。1995年に自民党に入党した。

    2003年に小泉政権で内閣府特命担当相およびIT担当相となり初入閣。その翌年には年金未納の問題が指摘され、事後納付している。

    第二次安倍政権発足時には経産相に就任。その後、経済再生担当相を務め、2019年9月からは外相となった。岸田内閣では菅内閣に引き続き、外相を務める。

    竹下派の会長代行を務め、総裁選では岸田氏を支持した。

    食事にこだわる一面も。過去のNHKの取材に対し「失敗できない、いざという仕事のときほど、ランチも失敗しない『安定感』が重要だね」と語っている。

    6. 防衛相:岸信夫氏

    1959年、東京都出身。慶應義塾大経済学部卒。

    住友商事に入社し、アメリカ、ベトナム、オーストラリアでの海外勤務を経験した。

    2004年参院選で山口県選挙区に出馬し初当選。2012年衆院選で鞍替えし、山口2区で当選した。これまで防衛大臣政務官、外務副大臣、衆議院安全保障委員会委員長を務めた。

    菅内閣で初入閣。岸田内閣では菅政権に引き続き、防衛相を務める。細田派所属。

    安倍晋三元首相の実弟。生後間もなく、母方の実家・岸家の養子に迎えられたため、岸姓となった。

    岸家で育った幼い頃は自分が養子であることを知らされず、晋三氏とは「兄弟」ではなく「いとこ」として接していた。大学入学の準備で戸籍謄本を取り寄せて初めて事実を知り、驚いたという。

    7. 厚労相:後藤茂之氏

    1955年、東京都生まれ。東大法学部卒。

    大蔵省(現・財務省)を経て、2000年の衆院選に民主党(当時)から出馬し初当選。その後、自民党へと転じた。

    これまで国土交通政務官や法務副大臣、衆院厚生労働委員長などを歴任。

    無派閥で、今回が初入閣となる。

    自身のホームページで更新していたコラムの平成24(2012)年4月号では、当時の民主党政権の社会保障制度について、「生活保護費も、バラマキの風潮や政府の対応によって政権交代後給付が5割近く増加し、3.7兆円にもなっています」などと指摘。

    「社会保障制度は、まず自助自律が基本だと考えます。額に汗して働く人が報われる社会を目指すべきです」などと述べていた。

    8. 総務相:金子恭之氏

    1961年、熊本県出身。早大商学部卒。

    衆院議員の秘書などを務めた後に、2000年衆院選に無所属で立候補し、当選した。その後、自民党に入党。

    国土交通副大臣や自民党の政務調査会長代理などを務めた経験を持つ。

    岸田派所属で、今回が初入閣。

    自身のホームページでは、「『地域の繁栄なくして、国の繁栄なし』という考えのもと徹底した現場主義で地域の『生の声』と『本音の声』を聞いてそれを国政に届けたいと常に思っています」としている。

    9. 法務相:古川禎久氏

    1965年、宮崎県生まれ。東大法学部卒。

    建設省(現・国土交通省)、衆院議員秘書などを経て、2003年衆院選で初当選。

    これまで法務大臣政務官や環境大臣政務官、自民党の副幹事長、財務副大臣などを務めた。

    9月末にそれまで所属していた石破派を退会し、現在は無派閥。今回が初入閣。

    ホームページには「忘れえぬ人々」というコラム欄があり、「保守とは?」というコラムでは新自由主義について「『勝ち組』もいずれ『負け組』に転落するしかない」「これが果たして良い社会と言えるのか」と言及。

    「わたしは、地域共同体の助け合いや、足るを知る心にこそ、日本人の幸せのヒントがあると考えている。“保守”すべきはここだと思っている」としている。

    10. 文部科学相:末松信介氏

    1955年、兵庫県出身。関西学院大法学部卒。

    全日空で働いたのちに、兵庫県議選に当選。2004年の衆院選で当選を果たし、国政に進出した。

    これまで財務大臣政務官、自民党幹事長代理、国土交通副大臣、復興副大臣などを歴任。

    細田派所属で、今回が初入閣。

    ホームページでは日本の教育について、「教育基本法を改正し、教師、子ども、親が信頼で結ばれ、公徳心と公共の精神、国を誇りに思う心が自然と身に付く教育の実現をめざす」としている。

    11. 農林水産相:金子原二郎氏

    1944年、長崎県出身。慶大文学部卒。

    日本水産などで勤務し、1975年に長崎県議会議員に、1983年衆院選で国政で初当選した。

    その後、1998年から2010年までは長崎県知事を3期務めた。2010年からは参議院議員。

    これまで参議院の決算委員長や自民党の総務会長代理などを歴任。

    岸田派所属で今回が初入閣。父親の金子岩三氏と親子二代で農水相となる。

    12. 国土交通相:斉藤鉄夫氏

    1952年、島根県出身。東京工業大大学院理工学研究科修了。

    卒業後は清水建設で勤務。アメリカのプリンストン大学客員研究員などを経て、1993年衆院選で初当選した。

    これまで科学技術総括政務次官や環境相、公明党政務調査会長、公明党幹事長などを歴任。現在は公明党の副代表を務めている。

    13. 環境相:山口壮氏

    1954年、兵庫県出身。東大法学部卒。

    外務省勤務などを経て、2000年衆院選で初当選。

    2011年には当時の民主党政権で内閣府副大臣、外務副大臣を務めた。

    2015年から自民党に所属。二階派の事務総長を務め、菅政権では自民党の筆頭副幹事長を務めてきた。

    総裁選では高市早苗氏の推薦人に名を連ねていた。今回が初入閣。

    14. 経済再生相:山際大志郎氏

    1968年、東京都出身。東大大学院農学生命科学研究科修了。

    獣医師を経て、2003年衆院選で初当選。内閣府大臣政務官、経産副大臣、自民党副幹事長などを歴任。

    麻生派に所属し、総裁選では岸田氏の選対本部で幹部を務めた。今回が初入閣。

    山際氏は新型コロナ担当相も兼務する。

    15. ワクチン担当相:堀内詔子氏

    1965年、山梨県出身。学習院大大学院人文科学研究科博士前期課程修了。

    2006年から「フジヤマミュージアム」館長を務め、2012年衆院選で初当選。

    その後、厚生労働大臣政務官や環境副大臣、内閣府副大臣を歴任した。

    父親は小泉政権下で自民党総務会長を務め、岸田氏の2代前の宏池会の会長も務めた堀内光雄氏。夫は富士急行社長の堀内光一郎氏。

    父親の地盤を継ぎ、立候補した際の思いについて自身のホームページで「自分が国会議員となることで、国の方針決定に対する女性参加率を増加させることが絶対に必要だという思いがありました」と語っている。

    岸田派所属で、今回が初入閣。オリンピック・パラリンピック担当相も兼務する。

    16. 少子化担当相:野田聖子氏

    1960年、福岡県出身。上智大外国語学部卒。

    帝国ホテルに入社。1987年に岐阜県議選に立候補、史上最年少の26歳で当選。その後、1993年衆院選に当選し国政に転じた。

    1998年には当時史上最年少の37歳10ヶ月で郵政相に。

    2005年の「郵政解散選挙」では、郵政民営化関連法案に反対して自民党を離党。「刺客」として同じ選挙区に佐藤ゆかり氏(現・衆院比例近畿ブロック)を擁立されたが、無所属で当選。翌年に復党して以降は総務相、自民党総務会長、幹事長代行を歴任した。

    総裁選では一貫して子ども、女性、高齢者や障害者という社会的弱者、介護政策や貧困の格差や人口減少など「主役になれない人に向けた政策が十分ではない」と訴えていた。

    現在は無派閥。岸田内閣では地方創生担当相と女性活躍担当相も兼務する。

    17. 経済安全保障相:小林鷹之氏

    1974年、千葉県出身。東大法学部卒。

    大蔵省(現・財務省)に入省。その後、ハーバード大学ケネディスクールで公共政策学を修了した。

    2012年衆院選で初当選。防衛大臣政務官などを務めた経験を持つ。

    自身のホームページでは、「世界から信頼され、必要とされる国を創りたい。そして何よりも国民の暮らしをさらに豊かにし、国民の命と財産を守り抜く国を創りたい」というメッセージを発信している。

    議員になってからは電車通勤で永田町に通っている。

    甘利明幹事長が座長を務める経済安全保障に関する会議で事務局長を務めていることから、今回新たに設置される経済安全保障相への抜擢が決まった。

    二階派所属で初の入閣。

    18. 復興相:西銘恒三郎氏

    1954年、沖縄県出身。上智大経済学部卒。

    父親は沖縄県知事を務めた西銘順治氏。大学卒業後は沖縄開発金融公庫、父の秘書を経て、沖縄県議を務めた。

    2003年衆院選で初当選。国土交通大臣政務官、経済産業副大臣などを歴任。

    竹下派所属で今回が初入閣。総選挙では岸田氏の推薦人を務めた。

    沖縄・北方担当相も兼務する。

    19. 国家公安委員長:二之湯智氏

    1944年、京都府出身。慶大法学部卒。

    国立京都国際会館などを経て1987年に京都市議選に初当選。1999年に京都市議会の議長に。2004年参議院選に出馬し、国政で初当選した。

    これまで総務大臣政務官、総務副大臣などを歴任。

    長男の二之湯武史氏は2013年参院選で滋賀県選挙区から立候補し初当選。親子の同時在職は54年ぶりだ。

    竹下派所属で、今回が初入閣。総裁選では岸田氏の推薦人の名を連ねた。防災担当相を兼務する。

    二之湯氏はすでに、2022年夏の参院選に出馬せず政界を引退する意向を表明している。

    20. 万博相:若宮健嗣氏

    1961年、東京都出身。慶大商学部卒。

    セゾングループ勤務を経て、2005年衆院選で初当選した。

    これまで防衛大臣政務官、防衛副大臣、内閣府副大臣、外務副大臣などを歴任。

    竹下派所属で今回が初入閣だ。

    21.デジタル相:牧島かれん氏

    1976年、神奈川県出身。国際基督教大大学院行政学研究科博士後期課程修了。

    父の功氏は神奈川県議(自民、横須賀市選出)で、かつては横須賀を地盤とする小泉純一郎元首相、さらにその父純也氏の秘書だった。

    かれん氏は2009年衆院選で、引退する河野洋平・元衆院議長(河野太郎氏の父)から後継指名を受けて神奈川17区で立候補したが、落選。2012年の次期衆院選で同区から初当選した。

    これまで内閣府大臣政務官を務めたほか、菅政権時代に女性として初めて、自民党青年局長に就任した。

    麻生派所属で今回が初入閣。行政改革・規制改革相も兼務する。